専門家が指摘「近年のサルの繁殖スピードの早さ」

増え続けるサル被害。
富山県魚津市では5日、住民が野生動物の被害対策について学ぶ研修会が開かれました。
野生動物の農作物被害に詳しい服部義和さんが指摘するのは「近年のサルの繁殖スピードの早さ」です。
山に生息するサルと農作物を食べるサルを比較すると、農作物を食べるサルは初産年齢が2、3年ほど早く、さらに出産間隔も短いの特徴です。
栄養状態が良いため、頻繁に出産することができ、結果として個体数が増えていくのです。
では農作物被害を食い止めるにはどうしたらいいのでしょうか。

サルの生態に詳しい県自然博物園ねいの里の赤座久明さんが推奨する個人でできる対策とは――
【対策】
▼電気柵の設置
サル対策用の「網」ではなく、電気柵が有効だと赤座さんはいいます。
▼サルのえさを取り除く
カキの実を早く収穫するなど、サルに食べ物を与えないようにすることで、サルの成長を遅らせることができるといいます。
▼できる範囲で自分で追い払う
サルは人間の表情や立ち居振る舞いが認識できるといい、エアガンで追い払う際も怖がらずに毅然とした態度で追い払うことで、サルに恐怖心を植えつけることができるそうです。
富山県自然博物園ねいの里 赤座久明さん(70)「それがあっての個体数調整、駆除だと思うのでその3つをバランスよくとらなければ効果的なサル対策はできない」
赤座さんはこれらの対策に加えて国や自治体ぐるみでサルが人里に降りてこない環境づくりをすることが大事だと話します。
富山県自然博物園ねいの里 赤座久明さん
「大きな力が必要な裏の里山の伐採は県や国の補助がないと、自分たちの集落だけでは無理。そういうところに積極的な支援をするべきではないのか。組織的、計画的に順序立てて対策を進めていく。一年で済むこともあるだろうし、5年かかることもあるだろうし、10年かかることもあるだろうけれども、あきらめずに続けていくことだと思う」