“被爆体験のバトン” 託される私たちは…

藤森祥平キャスター:
細川さんは、このバトンを受け継ぎ次の世代に託す私達に、大事なポイントを3つ教えてくださいました。
まず1つ目は「事実」を丁寧に理解すること。2つ目は思うこと。3つ目はメッセージを発信すること。「この『思うこと』と『メッセージを発信すること』は、それぞれ自由でいい。自分たちが感じたことをそのまま伝えてくれればいい。大げさではなくていいので、一瞬のうちに日常生活や命が奪われた悲惨さを自分事として考えてくれればいい。そこから始めてほしい」とおっしゃっていました。

トラウデン直美さん:
私も広島でいろいろな人のお話を伺っていく中で、唯一の被爆国・日本に生まれた1人として、私自身も核に対する反対の気持ちを絶対に揺るがしてはいけないと改めて強く感じました。

今日お話を伺った16歳の外国の少年が「教科書で学んだことと、ここに来て平和資料館で見たことは全然違う。自分自身が相手の文化や相手の経験してきたことを知って、繋がり、コネクションを見つけることが平和への一歩になると思う」とおっしゃっていたのがとても印象的です。

藤森キャスター:
今コネクションという言葉がありましたが、実際に伝承していく竹本さんや細川さんがおっしゃっていたのは、伝えていくと希望が見えてくるそうです。例えば、竹本さんが東京で20代の若者に話をし終わった後に「亡くなったおじいちゃんの話をもっと聞けばよかったです。今日はありがとうございました」と挨拶しに来てくれたり。また、細川さんも岐阜で授業で講話をした後に職員室で待機していると、わざわざ中学生が職員室まで来て「これから一生懸命生きようと思います。ありがとうございました」と一礼しに来たそうです。そういう思わぬ反応を希望にして、これからも活動を続けたいとおっしゃっていました。

小川彩佳キャスター:
希望を繋いでいくという思いを強く持たなければならない。一方で、石破総理をはじめ歴代総理は、核兵器なき世界の実現に言及しながらも、核兵器禁止条約への参加やオブザーバー参加などは見送られたままです。参議院選挙では、候補者から核武装を容認するような発言もあり、共感するような世論も現実にある。心の痛みに堪えながら被爆体験を語り続けてきた方々、そして苦しみの中、語ることもままならないまま亡くなられた方々は、こうした今の日本をどんな思いで見ているんだろうと思います。

藤森キャスター:
嘆いている方や怒っている方は多くいらっしゃる。その人たちのギャップがどんどん開いていくイメージがあります。竹本さんは「心の復興はいつまでも終わらない」と言っていました。「戦争は終わっても傷は癒えない。悲しみは消えない。だからこそ伝えていくことで見えてくる希望を何とか残し続けたい」とおっしゃってました。

トラウデン直美さん:
今日一番印象に残っているのは1分間の黙禱です。様々な国の人が集まって様々な思いがある中で、同じ気持ちで平和を願う。これが平和への一歩だと思いました。

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<プロフィール>
トラウデン直美さん
Forbes JAPAN「世界を変える30歳未満」受賞
趣味は乗馬・園芸・旅行