男子100m代表は今後、どんなプロセスで決まるのか

男子100mは7月の日本選手権で代表内定者が現れなかった。標準記録を破っていたサニブラウン・アブデル・ハキーム(26、東レ)が、ケガの影響で予選敗退したからだ。Road to Tokyo 2025(標準記録突破者と世界ランキング上位者を1国3人でカウントした世界陸連作成のリスト)では、標準記録突破者が世界陸上出場資格を得ているためリストの上位を占める。日本人で2番目に位置していたのが、世界ランキングで大量ポイントを獲得していた栁田だが、予選失格(フライング)で姿を消した。

日本選手権で内定者が出なかったため、日本選手権入賞者が標準記録を破った場合が、選考基準の最上位となった。複数選手がそれに該当した場合は、日本選手権の上位選手から代表になる。つまり日本選手権優勝者の桐生は、富士北麓での標準記録突破で代表入りが確定したが、守は日本選手権7位なので確定していない。高校生の清水が標準記録に到達したが、日本選手権では準決勝止まりで入賞できなかった。

日本選手権2位の大上直起(25、青森県庁)、3位の関口裕太(20、早大3年)、4位の井上、5位同着の多田修平(29、住友電工)と小池祐貴(30、住友電工)が標準記録を破れば、代表選考において守よりも優先される。

今後標準記録を突破する選手が現れなければ、守と標準記録を破っているサニブラウンが代表入りする。清水と栁田だけでなく、その他の選手にも、サニブラウンが昨年出した9秒96を上回れば、代表入りするチャンスは残されている。

守は前述のように、現時点では代表争いの2番目に位置している。「世界陸上は夢でした。世界の舞台で走れるのなら、1本でも多く走りたいです。残り1か月、しっかり準備します」

100mで代表入りすれば、4×100mリレーメンバーとしてもエントリーされる。100m終盤の強さがある守は、次の走者へのバトンパスに速いスピードで駆け込んでいくことができる。メダルを狙う4×100mリレーでも戦力になる選手だろう。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)