国民レベルでの反日感情という懸念

これら日中間の様々な動きの中で、「戦後80年の8月」を迎えたわけですが、一方で、国民レベルでは反日感情が高まる懸念もあります。

観光地として知られる中国の蘇州市で7月31日、子どもを連れた日本人女性が突然、石のようなもので殴られ、頭部を怪我する事件がありました。中国人とみられる容疑者は身柄を確保されましたが、背景は不明です。中国当局が日本に対し関係安定化を目指す動きに出ても、国民レベルでの感情は異なる可能性があります。

中国でも「終戦80年」という緊張の8月が巡ってきました。このシリーズでは、今後も周辺国にとっての「戦後80年」をテーマに、様々な視点から国際情勢を考えていきたいと思います。

◎飯田和郎(いいだ・かずお)

1960年生まれ。毎日新聞社で記者生活をスタートし佐賀、福岡両県での勤務を経て外信部へ。北京に計2回7年間、台北に3年間、特派員として駐在した。RKB毎日放送移籍後は報道局長、解説委員長などを歴任した。2025年4月から福岡女子大学副理事長を務める