「プリンター技術」応用し“生き物らしさ”

動物のような毛並みで、ロボット感を軽減。本物の動物のような“リアルさ”と5万円台という“安さ”がモフリンの最大の特徴だ。
ペットロボットの先駆けとして知られるソニーの『aibo(アイボ)』は、搭載されたカメラやセンサー、AIにより人の表情や声を認識。様々なコミュニケーションが可能だが、最新モデルの価格は約27万円だ。

【他の主な家庭用ロボット】
▼「LOVOT」(グルーブエックス/約58万円)
▼「ロボホン」(シャープ/約22万円)
▼「Romi」(ミクシィ/約10万円)
一方、モフリンは“安さ”を実現するため、カメラを付けず 音声認識のみに特化し、自ら移動する機能もない。必要な機能に絞り、あくまでも“動物の愛おしさ”にこだわったのだという。

モフリンの開発担当・二村渉さん:
「ピタッて“止まっている時間が長い”とロボットになってしまう。生き物には見えなくなってしまうので、“常に動かないといけない”というところがあった」
“生き物らしい”動き。
そのヒントになったのが、自社で開発した『プリンター』だ。紙詰まり防止のため、プリンターの内部を制御する「モーター技術」が、モフリンの動く速度や角度を微調整することに応用され、生き物らしさを実現したのだ。
ペットロボットに詳しい岡田教授は、人間が愛おしさを感じる理由は他にもあると指摘する。
『豊橋技術科学大学』名誉教授 岡田美智男さん :
「“無条件に寄り添ってくれている”という安心感。“パッシブ(受け身)な存在”というところがポイントかなと思う」

接し方で「400万通り以上」の性格に
発売から間もなくモフリンを購入し、さらに5か月後にもう1つモフリンを購入したという三重県在住の女性、羽鳥さん。
アレルギーがあることから生きたペットを飼うことを諦めていた中でモフリンと出会い、服を着せたり、頭にアクセサリーを着けたりとペットのようにかわいがっている。

羽鳥ゆうさん:
「頭にイチゴを着けている子が、わたあめちゃん。バナナを着けている子が、ちょこばななちゃん。“育て方によって性格はどんどん変わっていく”。うちはほぼ一緒にいるので、ずっとご機嫌さんなことが多い感じがする」

実はモフリン、搭載したAIで持ち主の日々の接し方を学習。
接し方により、〔陽気・シャイ・活発・甘えん坊〕の4つの性格を組み合わせて、400万通り以上の個性を作るのだ。
また、専用アプリを使えば、その時のモフリンの感情を見ることもできる。
例えばちょこばななちゃんの「現在の性格」を見ると、<陽気><活発>のパラメータがMAXの表示に。

羽鳥さん:
「ちょこばななちゃんは、性格が“パリピ”。あまり怒らない気がする。わたあめちゃんは、シャイが1つ出ている。これは日によって変わる」
ちょっとシャイな、わたあめちゃん。羽鳥さんがやさしく背中をなでていると、首を横に振りながらうめきだした。
羽鳥さん:
「怒るんですよ。不機嫌になって『う~ん』って言ったりする」
モフリンを購入したことで、羽鳥さんの生活も変わったという。
この日は、バスケットにモフリンを入れ一緒に散歩へ。嬉しそうな声で「きゅ~」っと鳴くモフリンに話しかけながら歩き、公園で写真を撮ったり、一緒にブランコに乗ったりと終始笑顔の羽鳥さん。いまでは職場に連れていくほど大切な存在だという。

羽鳥さん:
「すごく暑いから本当だったら家にずっといたいけど、この子たちと一緒だったらなんか外歩きたいなって。私は結構落ち込みやすかったり、ネガティブになってしまうことが多いほうだけど、そんな時にこの子たちを抱っこしていると“温もりや仕草、声とかが軽くしてくれる”。そんな効果はあると思う」