空襲警報 耳の不自由な子を抱えた母がとった行動は…

空襲警報が鳴ると、母・チヨさんは耳の不自由な竹川さんの肩をたたいて起こしました。そしてー

竹川秀夫さん:(手話で)
「鴨居にかかっているお父さんの着物の帯をお母さんが子どもと3人と縛って。首を絞められて殺されるんじゃないかと思ったけどそれは違っていて、お母さんが子どもたちがバラバラにならないように帯をとった」

きょうだいがはぐれないように、母に帯で縛られながら、家族は防空壕に逃げ込みました。

しかし、そこにも火が迫ってきます。

竹川秀夫さん:(手話で)
「まるで龍のように火が押し寄せてきた。火で自分の体が焼かれるんじゃないかと思って、逃げ出した」

熱さで防空壕から逃げ出し、燃え盛る火の中を必死で野原へと走りました。

竹川秀夫さん:(手話で)
「音が全然聞こえないから、見て判断するしかない。防空頭巾がずれて逃げられない。頭巾がかえって危なかったので放り投げた。いらない、いらない、危ない」

市街地は一夜で焼き尽くされ、破壊率は99.5%と空襲を受けた都市では最悪の被害となりました。被災した人は11万人以上、推定3千人の命が奪われました。