「15%関税」日本経済への影響は?

ひとまず「15%」で決着した関税の影響は、どう出てくるのだろうか?

▼相互関税:15%(元々15%以上のものは現状維持)
▼自動車・自動車部品:15%(元々の関税2.5%+上乗せ分12.5%)
▼鉄鋼・アルミニウム:50%

この点についても、白井さんは「安心できない」と懸念する。

慶應義塾大学 総合政策学部教授 白井さゆりさん
「メキシコやカナダからの輸出は、アメリカのローカルコンテント(現地調達率)などの条件を満たせば関税0%だがそれ以外は25%なのでアメリカの自動車産業と労働組合からは『日本が優遇されている、不公平だ』と不満が出てきている。15%がこの先どうなるか、輸出枠を設定される可能性もあるのであまり安心できる状況ではない」

また、関税の影響に関する試算では、GDPの押し下げは軽微にとどまるというものもあるが、日銀が利上げ路線に転換する可能性について、日銀審議委員も務めた白井さんはどう考えるのか。

【実質GDP】(関税25%なら)0.85%下押し→(関税15%で)0.55%下押し
※『野村総研』木内登英氏の試算
▼【日本車7社合計の関税負担分】関税25%に比べ「約1兆6000億円圧縮」
▼【日本車7社の減益幅】47%→25%

※『ゴールドマン・サックス証券』湯澤康太氏の試算

白井さん
「メキシコやカナダの関税率などもまだ非常に不確実。それから日本の関税率もこれから変わりかねない。そんな状況で利上げは考えられないと思う」

――では、アメリカはどうか。インフレ懸念が依然としてあり、利下げには踏み切れないか

白井さん
「足元のインフレ率が少し上がってきている。全てが関税のせいではないが、今後もっと影響が出てくると思う。8月1日以降に関税率がどうなるか。もしメキシコなどが関税率35%とかになってくるとインフレ率も上がってくる。市場は9月の利下げと思っているが早すぎる。9月のデータを見るためには10月12月が利下げを考える時期だと思う」