民主主義の本質を問う—多数派と少数派の構造

この作品は、民主主義における構造的な問題も浮き彫りにしています。
人口比で言えば沖縄は全国の約1%、残りの99%は沖縄県外です。佐古監督は「確かに民主主義というのは多数決で決まっていくものですけれども、少数の意見を聞かずにずっと少数派の上に多数派がアグラをかき続けている状態が、果たして本当に民主的と言えるのかどうか」と問いかけます。
「ある意味では民主主義の在り方、この国の在り方を沖縄は問うている」という佐古監督。かつてTBSテレビ「筑紫哲也NEWS23」でキャスター編集長を務めた筑紫哲也さん(故人)が「沖縄に行けば日本が見える」と語った言葉を引用し、「その日本がどのように見えるのか、そこにつながってくる気がしています」と語りました。
30年という長い期間の映像記録を掘り起こし、丹念に編集した本作。佐古監督は「ニュースは毎日押し寄せてくる中で、例えば辺野古で言うと、何が辺野古の原点だったのか、そのプロセスに何があったのかがやはり忘れられていく」と指摘します。一つ一つは点でしかない出来事も、30年という時間軸に乗せると一本の線になり、起点と着地点も見えてくると言います。
戦後80年の今年、佐古監督は「平和国家になり、経済大国になったこの国は、沖縄の軍事占領があったからこそ。それは裏表」と語り、「これからどういう道を本当は歩んでいくべきなのかを考える一つの材料になれば」と締めくくりました。
映画『太陽の運命』は富山市のほとり座で26日から公開され、27日には佐古監督の舞台挨拶も予定されています。