民意と行政の板挟み—2人の知事が辿った道

政治的立場の違いから反目し合ってきた太田氏と翁長氏。しかし、映画の終盤では2人の歩みと発言が重なっていきます。

なぜこの2人を主人公に選んだのか――。

佐古監督は「30年の辺野古を巡る歴史を描く中で、最初は辺野古を推進しながらも、辺野古に苦悩して現職のまま亡くなった翁長知事、この2人は欠かせない」と説明します。

さらに「この2人は非常に反目し合っていた。その2人がどんどん言葉も意味も重なるところを紐解きたいと思った」と語ります。その紐解きの先には「沖縄の歴史があり、この国が沖縄にどう相対してきたのかの答えがそこにある」と佐古監督は考えています。

普天間基地の移設反対と沖縄の経済発展という、二つの板挟みになった知事たちの苦悩も作品の大きな見どころです。「知事というのは行政官という立場と、民意を背負った政治家でもあるわけですから揺れる」と佐古監督。特に太田知事は当時の橋本龍太郎総理と17回も会談を重ね、政府に歩み寄る姿勢も見せていました。