7月20日に行われた参議院選挙。勝敗ラインとしていた「50議席」に届かず、衆議院に続き参議院でも少数与党になった自民党。歴史的大敗を喫した自民党の敗因は?石破総理の進退や今後の政局はどうなるのか?ジャーナリスト・武田一顕氏、MBS解説委員・大八木友之氏の見解をもとにお伝えします。

与党の獲得議席予測「41」→実際は「47」 なぜ差が生まれた?

 与党は、過半数の125に届く計50議席の獲得を目標にしていましたが、結果は47議席と届かず。

 これについてジャーナリストの武田一顕氏は「自民党の中の保守層が、石破氏や前任の岸田氏に失望して外に流れていった。主に参政党に流れていったことによって参政党ブームが起きて、自公が負けた」と分析します。
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 投開票日の20日午後8時点で、JNNは与党の議席予測を「41」と出していましたが、結果は47と開きがありました。MBSの大八木友之解説委員は「自民党を6議席少なく読んでいた。立憲民主党に4つ多く、そして参政党に2つ多く積んでいたところから誤差が生まれています。接戦、そして激戦区で最後に自民党が踏ん張って、1人区で特に逆転現象が見られました」とした上で、「参政党は新興勢力で、その勢いがかなり強く出てしまったという面もあるかと思います」と言及。

 武田氏は、議席の予測は非常に難しく「特に今回は参政党という今までになかった要素があった」としつつも、「(予測を)外しすぎ。もう少しよく考えないと、政治ジャーナリズムやオールドメディアに対する不信につながるから、きちんとした分析をしなければいけない」と話します。

「不安定になるかもしれないが、それでも自公が嫌だというのが民意」

 改めて各党の議席数を見てみます。

【獲得議席数】
自民  39(-13)
公明   8(-8)
立憲  22(±0)
維新   7(+2)
共産   3(-4)
国民  17(+13)
れいわ  3(+1)
参政  14(+13)
社民   1(±0)
保守   2(+2)
他    9
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 この結果を武田氏は「混乱とカオス」と表現。「多党乱立でこれからどうなるかわからない。それからキーマンの不在。以前は混乱が生じると野中広務氏や小沢一郎氏などキーマンが現われ、そういう人たちが何とか収拾していったけど、今回はキーマンがいないので、混乱とカオスがこれからも続いていく」とした上で、「これを有権者が選んだんですよね。不安定になるかもしれないけど、それでも自公が嫌だというのが民意」と分析します。

 有権者が抱えている「現状を変えてほしい」という願いは実現していくのか?の問いに武田氏は「変えにくいと思います」と回答。武田氏が選挙後に複数の国会議員と話をしたところ「変数が多すぎてこれからどうなるかわからない」と話していたということです。

 一方で大八木解説委員は「“不満票”で野党に明暗」としていて、「社会への不安や暮らしへの不満をうまくすくい取れたところが野党としては議席を伸ばした」と分析。その中でも「国民民主党の『手取りを増やす夏』、参政党の『日本人ファースト』など、キャッチフレーズが有権者の間にも浸透している党は議席を伸ばした。他の野党も物価高という点で減税は訴えてきましたが、うまく刺さるところと、そうでもないところで議席数に差が出た」という見解です。