楽天がインドで存在感を放つ理由とは?製造業の集積地としての新たな可能性

野村:
インド市場で存在感のある日本企業というと、スズキなどが有名ですが、他に特徴的な企業はありますか?

浜田:
意外なところでは、楽天が大きな存在感を示していました。楽天はインドで主にシステム開発やR&Dの開発拠点として非常に力を入れています。オフィス内に保育園やヨガルームを完備するなど、GAFAとの人材獲得競争の中で、給与面で劣る分を「働きやすさ」で補おうと努力されていました。

野村:
働きがいだけでなく、働きやすさも追求しているのですね。

浜田:
また、経済全体で見ると、米中関係の変化を受けてiPhoneの製造拠点が移転してくるなど、インドは「メイク・イン・インディア」を掲げるモディ政権のもと、製造業の集積地としての存在感を高めています。日本企業にとっても、インドをアフリカへの輸出拠点と捉える動きがあります。

野村:
ポテンシャルは非常に大きいわけですね。

浜田:
ただ、法律の複雑さといったビジネス上の障壁もあり、JETROの統計を見ても、実際に進出する日本企業の数は伸び悩んでいます。この課題をどう乗り越えていくのかが問われています。

楽天の例のように、給与だけでない価値を提供し、現地の課題を乗り越えている企業も出てきています。インドという巨大な市場と、そこにいる優秀な人材のポテンシャルは計り知れません。日本がこの流れにどう乗り、彼らと共に成長していくのか。まさに今、その戦略が問われているのだと思います。

野村:
浜田さん、非常に興味深いお話をありがとうございました。

<聞き手・野村高文>
Podcastプロデューサー・編集者。PHP研究所、ボストン・コンサルティング・グループ、NewsPicksを経て独立し、現在はPodcast Studio Chronicle代表。毎週月曜日の朝6時に配信しているTBS Podcast「東京ビジネスハブ」のパーソナリティを務める。