6月27日(金)に、統計を始めて以来最も早く梅雨明けをしたとみられる近畿地方。万博会場は、過去にない長い夏が始まっています。最新の3か月予報によると、7月も8月も9月も平年より気温が高く例年以上の猛暑&厳しい残暑になりそうです。

 そんな猛暑のなか、万博会場のあるパビリオンの外膜材には対策が取られています。それは冬によく聞く「放射冷却」現象を利用した新素材なんです。

万博会場を冷やす?!冬によく聞く「放射冷却」を利用した新素材とは

 銀色の膜に覆われた三角形の屋根の建物は、日本ガス協会が出展する「ガスパビリオン おばけワンダーランド」です。こちらの外膜材には新素材の「SPACECOOL」が使われています。冬によく聞く天気現象の「放射冷却」を利用する技術です。

 「SPACECOOL」は、昼間は太陽光のほとんどを反射し熱吸収を抑える上に、伝わった熱すら宇宙空間へ放出することで、日中でさえ冷やすことができる世界最高レベルの放射冷却性能を持つ新素材です。パビリオン内の空調システムと合わせて、従来素材よりも空調エネルギーをおよそ6割削減できるとしています。

 では、この「SPACECOOL」に利用されている、冬の冷え込んだ早朝の天気予報でよく聞く「放射冷却」とは何か、詳しく解説します。

 昼間は、太陽光によってまず地面が熱を受けて暖まります。一方で、地面からも熱を宇宙へ放出しているのですが、日中は太陽から受ける熱量の方が多いため地表が温められます。逆に、夜は太陽光が無くなる分、地面から熱が逃げて地表が冷えていきます。

 このように、地面から熱が放出されて冷えることを「放射冷却」と呼び、特に冬の夜から早朝に氷が張ったり霜が降りたりする時に「あすの朝は、放射冷却現象によって冷え込みます」とお伝えしています。