映画『ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』が公開されて1か月が経った。20年以上にわたり40万人以上の女性たちが性暴力の被害にあい続けているアフリカ・コンゴ民主共和国の現状を取材したドキュメンタリーだ。

「レイプされ、妊娠し、腹を刺され、放置された・・・」。そんな日本の日常からは想像を絶する被害者たちの体験。しかし、SNSには「遠いコンゴの話と思うなかれ」「日本も例外ではない」など映画を自分ごととしてとらえる感想が多く発信されている。アフリカから遠く離れた日本で、なぜここまでの共感を呼んでいるのか。立山芽以子監督に『ムクウェゲ』と私たちをつなぐものについて聞いた。


立山芽以子監督

■「アフリカは世界の問題の縮図」

ーーなぜアフリカを取材しようと思ったのですか?

アフリカはすごく興味深いところだからです。世界のことをいろいろ勉強していくうちに、アフリカは世界の矛盾が凝縮された大陸だと感じるようになりました。つまり、自然災害でも、政治の腐敗でも、不平等でも、様々な世界の問題が極端に現れるところだと感じるようになったんです。なので、機会があれば取材がしたいとこれまでも企画を出してきました。



ーー立山監督はこれまでも「農村開発の光と影(モザンビーク)」や「世界最貧国はうったえる(ブルキナファソ)」などアフリカでの取材をされてきました。今回は「女性にとって世界最悪の場所」と呼ばれるコンゴ民主共和国東部ブカブで、性暴力を受けた女性たちを無償で治療し、2018年にノーベル平和賞を受賞した婦人科医のムクウェゲさんを通して、支配のために組織的に行われる性暴力の構図を描かれました。被害者は生後6か月から91歳まで、年間に2500人から3000人という、確かに“極端”というか、日本の現状からは想像できないと感じる人も多いと思います。

そうですね。いつも企画を作るにあたり、すごく遠い国にかわいそうな人たちがいる、なんか大変ね、そういうところに取材に行ってる自分ってすごいよね、とならないように自戒しています。アフリカで起きていることは“極端”かもしれないけれど、自分たちの社会も似たような構造を持っていないか、そして、離れた国であっても、それは回り回って日本の自分たちと繋がっているのではないか、ということを描きたいといつも思っています。

映画『ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』より