外国人の国民健康保険の現状は?

井上キャスター:
保険制度という枠組みで、各党の公約や政策集を見てみます。

【日本維新の会】
医療保険などの制度について、一部外国人が集団的に濫用
→制度の再構築が必要

【参政党】
医療保険や生活保護の濫用を防ぐための利用条件を明確化

【日本保守党】
外国人の健康保険・年金を別立てにすべき

厚生労働省に取材したところ、外国人における国民健康保険の対象者は、▼日本に住民登録があり、▼在留期間が3か月以上の人は加入しなければならないそうです。(外交官などは対象外)

2023年度の国民健康保険の被保険者は、全体では約2378万人で、うち外国人は約4%(約97万人)でした。

国民健康保険の医療費は、2023年3月~2024年2月までのデータでは、全体が約8兆9268億円で、うち外国人は約1.39%(約1240億円)でした。

外国人政策に詳しい国際基督教大学の橋本直子准教授によると、「外国人の被保険者は、働く世代(若い世代)が多い。医療機関を受診する人が少なく、医療費の割合が低くなっているのではないか」ということです。

厚生労働省の調査によると、国民健康保険の納付率は、▼日本人を含めた全体平均は93%に対し、▼在留外国人(約150自治体の平均)は63%にとどまっていて、在留外国人の納付率の低さが浮き彫りになっています。

JX通信社 代表取締役 米重克洋さん:
例えば、よくデマで言われている、「外国人が生活保護をかなりの割合で受給している」というような事実はないということが、データ統計上では明らかになっているんだと思います。

一方で、最近の物価高の流れの中で、インバウンドの外国人の数や、外国人労働者数が増えているということがあります。そういった中で、例えば、購買力の差や文化的な摩擦など、色々なものを感じている人が一定数増えている。

そうした不満を外国人に対してぶつけていこうという心理が働いている可能性というのは、否定できないと思います。

ソーシャルメディアでも、例えば、外国人に新幹線の席を取られたといったような“迷惑外国人”などがすぐバズったりします。こういった現象が積み重なっていって、今回の選挙での争点化に繋がっていったという背景があるんじゃないかなと思います。

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〈プロフィール〉
米重克洋
JX通信社 代表取締役
全国の報道機関にニュース速報や世論調査を提供
選挙分析も手がける

岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当