息子娘と「明るく、楽しげに」一点突破で駆け抜けた10年

当時は、高校1年生の息子と中学1年生の娘との4人暮らし。

数年後には美恵さん自身も、2度のがんを患いましたが、子供たちの協力が後押しとなり、この10年を駆け抜けてきました。

『眼述記』より
絶望的なことが起きたからと言って、そばにいる家族全員がずっと絶望しているわけにもいかないのだ。帰りたくない家にだけはしたくない。『明るく、楽しげにしている』という一点突破でやろう、と決意した。

明洋さん自身が書き手となり新聞連載スタート

明洋さんが倒れてから10年。夫婦は今年4月から、新たな取り組みを始めました。

明洋さん自身が書き手となって新聞連載を始めたのです。

タイトルは、『真・眼述記』。

夫:矢部明洋さん
「ぐちばかり」

妻:高倉美恵さん
「ふざけんな。私が書いていた眼述記は愚痴ばっかりで飽きてきたからそろそろ自分で書こうかなと思った、だそうです。これから社会に切り込んでいくの?」

読み取るのはもちろん美恵さんの役目。1回の原稿量は800字。1時間ほどで読み取り、出稿します。

妻:高倉美恵さん
「頭の中をのぞきこむようなような感じがしてちょっと面白い、新鮮でもありますし」