三宅さん
「甘いにおいしますよ(記者:リンゴのにおいがする)すごいでしょ、香りが」

阿東の特産といえばリンゴ。三宅さんと岡崎さんは、ここに目を付けました。ジュースの加工場で出た絞りかすを牛に与えます。西京和牛ならではの特徴です。牛たちも甘いにおいが漂ってくるとまだかまだかと首を長くして待っています。リンゴをもらうと長い舌でなめるように食べていきます。加工場ではこれまで、絞りかすは廃棄物として処理していました。これを牛に与えることで処理する手間や経費がかからなくなります。また三宅さんにとっては、配合飼料を減らせるだけでなく、栄養価の高いリンゴを与えることで、肉質がよくなるメリットがあります。一石二鳥、地域の中での循環です。

三宅さん
「自社ブランド西京和牛のオリジナリティーを出そうと思ってそういう地元の特産物を何か利用できないかと考えてて肉にフルーティーさを付け加えていこうかなっていう工夫というか努力はしています」

飼料は、トウモロコシや麦などの独自ブレンド。父親の代から50年以上続く牧場経営の中で開発し、与えています。

牛たちは寝転んだり座わったりとリラックスた様子です。ストレスがない環境で、のびのびと過ごしています。

三宅さんは牛たちへの健康チェックを欠かしません。エサの残量などを確認し食いつきの悪い牛は獣医に診てもらいます。

獣医
「鼻水がでてるでしょ。ここはエサを食べないということなので熱を測って鼻水とか出てるので風邪の症状があるかとか」

牛も人間と同じで、季節の変わり目は風邪をひきやすいといいます。今回の症状は軽く、抗生剤を投与して健康状態を落ち着かせます。

三宅さん
「日々毎日コンディションっていうのは変わってくるので、そこはやっぱりきちっと見てやらないと目を光らせていないとなかなか発見できないんで、そこだけは重点的に見るようにしてますね」

三宅牧場では子牛を産ませる繁殖から、牛を育てて出荷する肥育まで一貫して行っています。生産体制を整えることで、子牛のときから一頭一頭の性格などもわかり、牛との信頼関係も築けると言います。

三宅さん
「若いときというのは、小さいときは粗飼料、乾燥とか稲わらをしっかり食わせた牛があとあとしっかり配合飼料食い込んでくれるんでそういう育成を作るように心がけているんですよね」

地域のシンボル、十種ヶ峰のふもとに広がる田園風景。ここで三宅さんは、自然のサイクルに適した循環型農業を進めています。農家から、牛に食べさせる稲わらをもらい牧場からは牛の堆肥を提供します。地域と密着した取り組みで西京和牛を育てています。


阿東セントラルファーム 田中孝明専務
「主に土の改良というか、土がふかふかになって肥料の吸収とかよくなるんですよ。堆肥を入れてもらうと三宅さんのほうも牛に食べさせるわらを取ってもらって両方がウィンウィンの関係になるんです」

県産食材を使ったフェアが来年1月から東京で開かれるのを前に、レストランの関係者が牧場を視察しました。県内のチャンピオンになったことや、リンゴを与えて育てていることなど、興味深そうに話を聞いていました。

レストランの総料理長
「食物繊維とかも豊富なんで、腸内環境もいいんだろうなと思ってそういう健康な牛っていうのはいい牛に育つんだなと思ってます」