あれから80年

今も柿原地区で暮らす津下さんの自宅には、当時から残る井戸があります。

津下さん「この井戸を使って自分の体を冷やしたわけ。助け出された後は異常なかったけど、3日、4日してから高熱が出た。『冷やし切らんと命はない』と言われた」

津下さんは、この7か月後にあった熊本大空襲のことも鮮明に覚えています。

津下さん「ここからも見えた。もう市内は真っ赤になっていた」

津下さんはこれまで体験を語ることはあまりありませんでしたが、歳を重ねるごとに、平和への思いが強くなりました。

津下さん「戦争を二度と起こしたくない、起こしてもらいたくない。今のように、日本は平和にいってもらいたい」

そして、公の場で経験を語ることを決めた津下さん。

当時の記憶を辿りながら40人ほどの前で当時のことを語り、最後にこう伝えました。

津下さん「空襲の思い出は忘れられません。怖かったのが精いっぱいです」

「柿原空襲」については、映像や写真などの記録が見つかっていません。再び戦争を起こさないため、津下さんは自らの経験を語り継ぐつもりです。