「マサカリ投法」で知られる元プロ野球選手の村田兆治さん(72)が11日、自宅の火事で死亡しました。
村田さんは、全国の離島の中学生で行う軟式野球大会「離島甲子園」に力を注いできました。
「君たちは島の宝」。
村田さんは子どもたちに、いつもこう語りかけていたと言います。
大きく振りかぶる独特のフォームから投げ込まれる剛速球とフォークボール。
215勝を収め1990年に引退した村田兆治さんは現役引退後、野球教室で全国を回る中で、離島の子どもたちの姿に心を打たれ、「離島甲子園」を提唱しました。
子どもたちに野球を通して友情を深めてもらうのが目的で、全国の離島中学生が一堂に会して行う、軟式野球の大会です。
2008年に始まり、今年8月には新潟県佐渡市で第13回大会が行われました。
島根県隠岐の島町ではこれまで2009年の第2回、2016年の第9回大会を開催。
大会では、村田さんが率いるチームとの交流戦や野球教室も開かれるなど、島では村田さんは身近な存在です。
大会の前には当時の溝口知事を表敬訪問し、伝家の宝刀といわれたフォークボールの握りを伝授するなど、気さくな一面も覗かせていました。

2009年に島根県庁を訪れた際、村田さんは「昨年マスターズリーグで、千葉マリンスタジアムで142キロを出しました。いくつになっても140キロ台を私の挑戦としてやっております」と語っていました。
第1回大会から隠岐の島町のチームに携わっている、平井利和監督(隠岐の島あんやらーず)は、「とにかく熱い人」と振り返ります。
隠岐の島あんやらーず 平井利和監督
「今年8月の大会で会った時も元気そうでした。子どもたちの前で、腹筋・背筋・腕立て伏せを毎日200回やっている、と言って披露していました。
離島というハンデの中で、子どもたちに貴重な経験の場を作り続けてもらい、感謝しかありません」
平井さんは、村田さんが子どもたちにずっと言い続けてきた、ある言葉が忘れられないと話します。
隠岐の島あんやらーず 平井利和監督
「君たちは島の宝。夢と希望を持って挑戦することを諦めるな。村田さんはいつも子どもたちにそう言い続けていました」