地元への思いはありながらも… 集団移転を決意
地元に帰りたいというジレンマを抱えながら、別所谷町の住民は2月、集団で移転することを決断し、市に要望書を提出しました。

輪島市・坂口茂市長「別所谷町のみなさんにとっては重い決断だと思っております。市役所としても責任を持って実現に向けて取り組んでいきたい」
このとき、集団移転を希望していたのはおよそ20世帯。輪島市はその後、相談会を通じて住民にヒアリングを行い、集団移転の手法を検討してきましたが、およそ4か月経っても具体的な指針は示されていません。
倉山邦雄さん「行政を頼るしかないと思っているが、今のところどう進んでどうなっているか回答はもらっていない」
輪島市は取材に対し、難航している認識はないとしたうえで、7月初旬にも住民向けの説明会を行うことにしています。
東日本大震災で、津波の被害にあった町の高台移転に関わった建築家の手島浩之さんは、行政と住民の対話が重要だと話します。
手島浩之さん「市として正式な回答をしようとすると相当な時間がかかる。でも対話はそういうものではない。今のところ『住民がこうしたい』に対して、まだ80%の確率だけどこういう方向で動いていますとか、そうすると住民もこっちの方向に行ってるなとかわかる」
地元に残りたいのに、住み続けることができない現状。
倉山さんは、住まいは変わっても地域の関わりが続くことを願っています。
倉山邦雄さん「地域で仲良く生活していた。それを現状維持して、場所は変わってもそうしていきたい」
倉山さんは住民がいつでも町に安心して帰って来られるよう、時間のある時は極力集落に来て道の草刈りや見回りを行っています。住まいは変わっても住民が町を思う心に変わりはありません。