■ファイザー製とモデルナ製 3回目接種の選択で抗体価に違いが
良原安美キャスター:ワクチンを3回接種していれば、海外から帰国の際に隔離が免除となる地域も出てきています。また、3回目接種についての世論調査では「接種した・したい」との回答が85%で、3回目のワクチン接種に前向きな方が多くを占めていました。現在はファイザー製かモデルナ製、2つの選択肢がありますが、どちらを打つかで抗体価と副反応に違いが出ています。
厚労省の資料によると、▼1回目から3回目までファイザー製を接種した場合、抗体価は1か月後に54.1倍になりました。一方で、▼2回目まではファイザーを接種し3回目は交互接種でモデルナ製を打った場合、1か月後の抗体価は67.9倍となりました。
2回目までの接種がファイザー製の場合、3回目の接種がファイザー製よりもモデルナ製の方が、抗体価が上がりやすいことがわかっています。
■ファイザー製とモデルナ製 3回目接種での副反応に違い
良原キャスター:▼2回目までファイザー製を接種し、3回目もファイザー製を接種した方の副反応の割合は、発熱(37.5℃以上)が39.8%、接種部の痛みが91.6%、倦怠感が69.1%、頭痛が55.0%でした。それに対し、▼3回目にモデルナ製を接種した方の副反応は、発熱(37.5℃以上)が68.0%、接種部の痛みが93.8%、倦怠感が78.0%、頭痛が69.6%となり、すべての項目でファイザー製よりもモデルナ製の方が高い割合で副反応が出ていることもわかっています。
また、3回ともファイザー製を接種した50代の男性は、接種後に”モデルナアーム”のような接種部が赤く腫れる副反応症状が出たようです。”モデルナアーム”というだけあって、当初はモデルナ製を打つと出やすいと言われていた副反応ですが、3回目ともファイザー製を接種している方にも赤く腫れる症状が出ているようです。
■3回目接種に最適な時期は? 第7波に合わせて接種したい人も
良原キャスター:3回目の接種時期について、「第6波がピークアウトしているのに今ワクチンを接種する必要があるのか?次の感染拡大、第7波が来るときに打ちたい、その時に抗体価を上げたい」と考えている方もいるようです。
ホラン千秋キャスター:
国際医療福祉大学感染症学講座主任教授・松本哲哉教授にお話を伺います。確かに第7波が来るのであれば、そのときに効果が出るタイミングで接種したいという意見は理解できますよね。
松本教授:
もちろん、ワクチンというのは感染拡大の波に合わせての接種が望ましいですが、その波がいつ来るかわかりません。今、感染の拡大がピークアウトしたように思えますが、順調に(感染者数が)減少しているかというと、まだ安心できるところまで減少している訳ではありません。ですから、まず私たちができることは今の感染状況に対して免疫を持つことです。そして、次にまた波が来たときにワクチン接種が必要であれば、そのときに再度打てば良いということです。
おそらく、これから国内のワクチンも使用できるようになると思いますし、年内に4回目ワクチン接種の可能性もあると思います。また、現時点でもこれだけ感染拡大しているため、次の波を待っている間に感染してしまう可能性があるので早めに打っておいた方がいいと思います。
井上キャスター:
重症化リスクは年齢によって大きく異なるので、65歳未満の方、基礎疾患のない方、現役世代は3回目接種について後ろ向きな方も多いと思います。松本教授は重症化リスクが少なく、3回目接種に後ろ向きな方にはどのような言葉をかけますか?
松本教授:
若い方の場合、風邪のような症状のみで終わればいいのですが、実際そうではなく後遺症が長く続くケースも見受けられます。感染中の症状は強く出なかったが、その後の後遺症で悩んでいるというケースもあるので、決して甘く見ない方がいいと思います。3回目の接種をすれば、明らかに抗体価が上がり重症化の予防、あるいは後遺症のリスクを下げるという意味でも有効性が保てると思っています。