「スマート農業」で大規模化&効率化も…費用面で課題あり

 一方、国が推奨している大規模農業に取り組むのは、姫路市の農業法人「夢前夢工房」の代表、衣笠愛之(64歳)さんです。

 衣笠さんはあわせて27ヘクタールの水田をわずか3人で管理しています。支えているのは通信や最新技術で効率化を図る「スマート農業」です。

(夢前夢工房代表・衣笠愛之さん)
「今年から自動の水位センサーがついたんで、設定すれば自動ですべてスマホから水の管理ができる」
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 稲を育てるうえで重要な水。このシステムで田んぼに行かなくても水の量を確認できます。また、衛星からの画像で稲の生育や水田の栄養状態を可視化して作業の合理化を図っています。そのほか、農薬散布用の大型ドローン(約300万円)や位置情報を入力すれば自動操舵が可能なトラクター(約1600万円)を導入。

 土のかたさ・水の深さなどを自動で検知し、誰がやっても同じ精度の田植えができるという田植え機(約600万円)も。

(衣笠愛之さん)
「(Q田植えは人が経験でやっていた?)田植えは勘でやっていました。(この田植え機だと)私が田植えしようが山中さんが田植えしようが同じようにできますから」
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 スマート農業は未経験者でも就農しやすくなったり、働き手の労働環境の改善につながったりと、メリットも大きく長期的にみるとコストダウンにつながるといいます。

(衣笠愛之さん)
「人件費とかは一気に下がると思います。(コメ作りトータルで考えると?)(従来のコストと比べ)7割でいける」

 しかし、多額の初期投資が必要なのが大規模化のハードルに。衣笠さんの場合、主な農業機械をそろえるだけでも約7500万円かかったそうです。
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(衣笠愛之さん)
「機械化を安心してできるためのコメの価格ってあるんですね。(適正価格は?)『(5kg)3000円なら協力しようかな』という気持ちになってもらえたら。日本の農業を守っているんだという協力の気持ちで買っていただける消費者が増えればうれしい」

 農家が安定した農業を続けられ、消費者も受け入れられるコメ価格の模索が続きます。