お酒を“飲まない”という選択

 そうした中、あえてお酒を飲まない選択をする「ソバーキュリアス」という考え方が日本を含め世界的に広がってきています。「ソバー(sober)」はしらふを意味し、「キュリアス(Curious)」は好奇心があることを意味する単語で、飲めるけれど飲まない、飲まなくてはいけない文化から少し距離を置きたい、といった考え方を表しています。
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 ノンアルコール飲料市場は、2009年から2023年でなんと6倍に(サントリーノンアルコール飲料レポート2024より)。

 最近では、イオンやドン・キホーテ、ミズノなどの異業種がノンアルビール市場に参戦しているほか、ビールだけでなくワインやハイボールのノンアルコール商品も登場しています。

 好調の背景について木地氏は「若年層だけでなく中高年層にも広がる」「タイパ重視(酔うと効率が落ちる)」「価格が手ごろ」といった点を挙げています。そして都留氏は、「カギは食事との相性」としていて、食前・食中・食後まで飲むシーンを想定した飲料が提案できれば、もっとノンアル飲料は選んでもらえると話しています。

 大吉洋平アナウンサーが飲食店にも商品を卸す大阪・堂山の酒店「伊吹屋」を取材すると、若い人が好むお酒は、「傾向が変わり種類も増えている」といいます。ソーダ割りや、インスタ映えする酒を自由に作ることができるジンはこの店の人気商品で、低アルコールの酎ハイも主力となっているそうです。店は「酒屋としてはもうちょっとお酒を飲んでいただきたい。ノンアルコールの利益率というのは微々たるものなので、できたらもうちょっとビールやアルコール度数の高い酒を飲むブームが来てくれたらなとは思います」と話しています。

 ノンアル好調の一方で都留氏は「ノンアルは基本的に“お酒の代用品”」だといい、お酒を飲む人が減少していくと「将来的に頭打ちの可能性もある」とも指摘します。

 では酒離れを回復するには?日本酒・ウイスキー・ビールは海外輸出が急速に拡大しているため、海外での評価の高まりが、国内の購買意欲を刺激する効果に期待ができるということです。