戦後80年プロジェクト「つなぐ、つながる」です。鹿児島にある自衛隊の教育部隊に今年、太平洋戦争で戦死した親族を持つ18歳の若者が入隊しました。国を守るという同じ道をたどる若者が抱く思いを聞きました。

「遅れるなよ、5分以内だぞ」

朝6時、新人隊員の1日が始まりました。分刻みの集団生活の中で、自衛官の基本動作を身につけます。

今年の春、高校を卒業した野間醇大さん(18)。地元・鹿児島の陸上自衛隊国分駐屯地の教育部隊に入隊しました。

4月の入隊式。252人が自衛官の一歩を踏み出しました。

「国民の負託にこたえることを誓います」

身をもって国を守ることを誓ったこの日。早速、小銃が手渡されました。

新人隊員 野間醇大さん
「この銃でこの国を守る重みを感じた」

この日は、戦闘訓練。小銃を抱えながら、敵に近づきます。

「銃口気をつけろよ」

有事の際、地上戦闘を担う隊員たち。中国が台湾に侵攻する台湾有事となれば、鹿児島の離島も巻き込まれるおそれがある中…

アメリカ ヘグセス国防長官(5月)
「(台湾有事は)世界全体に壊滅的な結果をもたらす」

アメリカは「脅威が差し迫っている」と強い危機感を示しました。

5月、実家に1か月ぶりの帰省です。

新人隊員 野間醇大さん
「第1空挺団の帽子。北熊本駐屯地に行って、かっこよかったので買った」

幼いころから好きな自衛隊。きっかけは、旧海軍・航空隊の整備兵となり、フィリピン・ルソン島で戦死した親族の存在でした。

新人隊員 野間醇大さん
「自分も国を守れるような人間になりたいと思った」

父・和彦さん
「親のほうが覚悟ができていない」

入隊後初めて、戦死した親族の墓を訪ねました。

新人隊員 野間醇大さん
「(Q.戦争はイメージできる?)経験しないと、どんな気持ちになるか分からない」

戦争は遠い存在ではあるものの…

新人隊員 野間醇大さん
「いざとなったら、行動に移せるように心の準備をする。家族といつまでも笑顔でいたいので」

戦後80年目の新人隊員。それぞれの「覚悟」を胸に、きょうも訓練に励んでいます。