“沖縄戦の縮図” 伊江島の戦い 「一人ひとりの戦争体験のミクロの視点を」
藤森祥平キャスター:
山田さんは役を演じる上で、表現は所詮作り物だから、とにかくどれぐらい真実に近づけるかというのを、“ひたすら当事者の気持ちを想像する”とお話をされていました。
今も世界でいろんな戦争が起きている中で「生き続けたい」と、何とか力を振り絞っている人たちの声を、私たちは想像し続けないといけないですよね。
株式会社 QuizKnock CEO 伊沢拓司さん:
よりリアルに、手段としての戦争・防衛について考える場面が増えた中で、もちろん綺麗事だけで国を守れるとは思わないけれども、やはり一人ひとりの戦争体験というものがあり、一人ひとりが戦争の被害者である。我々はそのミクロの視点を、まず手段を語る前に必ず思い浮かべなければならないですよね。

戦争の持つ実感というのを、いま日本に生きているほとんどの国民は味わえていないですが、語り継がれてきた手触りというのは、我々がまず思い浮かべなければいけないポイントなのかなと思います。
小川彩佳キャスター:
佐次田さんのご遺体の中に残されていた銃弾を目にしたとき圧倒されるものがありました。やはり人生を全うするその瞬間まで、佐次田さんの中で戦争が続いていたんだな、ということを感じました。今も伊江島には基地が広がっているその景色の前には、80年前というのはそう遠くないということを改めて実感させられました。
小説家 真山仁さん:
一方で、80年間日本は戦争に巻き込まれていない。ただ、世界中でずっと戦争は続いてます。今もずっとやっています。

6月になると沖縄、8月になると日本全国が戦争の話になる。これはすごく大事なことだし、語り部がいることも、こういう映画で語り継がれることも大事なんですけれども、もう一歩踏み込んで、誰もが駄目だと思っている戦争がなぜ起きるんだというところが本当に重要。それをそれぞれの人がまず想像から始めて、何でこんなことが起きちゃったんだろうということを踏み込んで話し合う機会みたいなことをやらないと、結局経験者がいなくなってくるので、気づくと戦争に巻き込まれてしまっているということが起きるかもしれない。

だから、戦争について考えるときが風物詩になってはいけないと思います。毎日、いつでもどこでも起きるかもしれないということを考えると、やはり「なぜ」というところにもう少し我々が踏み込まなければいけないのではないかと思います。
========
<プロフィール>
真山 仁さん
小説家「ハゲタカ」「ロッキード」など
最新著書に「ロスト7」
伊沢 拓司さん
株式会社 QuizKnock CEO
クイズプレーヤーとして活躍中