「上司選択制度」導入で離職率が低下 「社員から選ばれている気持ちで」

そんな“上司と部下のミスマッチ”を防ごうと、“新たな取り組み”を始めた企業が耐震設計などを手掛ける「さくら構造」。

社員の渡辺梨沙さんは、上司である山田班長から任される仕事の多さに悩んでいました。

渡辺梨沙さん(31)
「(仕事量を)調整をしてほしいと言ってもしてくれなかったので、ついていけないなと。相談しても解決しないなら無理だと思って、(会社を)辞めるしかないかなと」

そこで、年に一度の異動の機会に活用したのが「上司選択制度」。8人いる上司の長所や短所などが書かれた、いわば上司のマニュアル本。実際に働いたことがない社員も、上司の特徴を知ることができます。

例えば、山田班長の場合…
▼長所「現場の知識が豊富」「エクセルに詳しい」
▼短所「部下に興味がない」「女性の扱いに慣れていない」

…なかなか赤裸々です。

また、菅野班長は…
▼長所「まじめ」「社員の働きやすさを最優先」
▼短所「普段からグチや文句を言っている」

「社員の働きやすさを最優先」にしている菅野班長のもとへ、渡辺さんは異動しました。一方で、部下を失った元上司・山田班長は…

山田班長
「うまくいかなかったなとか、やっぱり配慮が足りなかったかなとか。いろんなことは思いましたけど、それはそれで気をつけていかなければいけないことなので、それは自分の学びになった」

この「上司選択制度」を導入すると、11%あった離職率は0.9%にまで低下しました。

ちなみに、渡辺さんは異動したことで山田班長の弱点や良さを改めて実感。翌年、再び山田班長を「上司」として選び、元のチームに戻っています。

さくら構造 田中真一社長
「常に経営者も上司も、働いている社員から選ばれているという気持ちをもって経営していかないといけないのに、昔の感じが残って横柄な企業もある。それは時代が違うので、直していかなければならない」