“患者自身の細胞”から低コスト・短期間で作製

そんな中、iPS細胞の研究施設「Yanai my iPS製作所」(Y-FiT)が6月20日、大阪・中之島に開所し、山中教授とファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が会見を行いました。この施設を拠点に「my iPSプロジェクト」を推進するということです。なお、柳井氏は個人として総額45億円を寄付しています。
▼Y-FiTでのiPS細胞作製<メリット1>
このY-FiTでiPS細胞作製を行うメリットがいくつかあります。1つ目が、my iPSプロジェクトではiPS細胞を『患者自身の細胞』から作るという点です。健康なドナーの体細胞をもとにiPS細胞を作ることもありますが、村上氏は「本人の体細胞から作る方が免疫による拒絶反応が起きにくい」と指摘。「拒絶反応は命に関わるので、可能性は低い方がよい」ということです。
▼Y-FiTでのiPS細胞作製<メリット2>
メリットの2つ目が、『低コスト・短期間』で作れるという点です。これまでは1人あたり約5000万円、期間は約半年かかっていましたが、Y-FiTでは約100万円・約3週間での作製を目標としています。
また、村上氏は「機械で自動化することで人件費をカットできる」と指摘。これまでは熟練の技術者が手作業(作業員3人+管理者)で年間3人分作るのが精いっぱいでしたが、Y-FiTでは、閉鎖型装置という機械で年間1000人分を自動製造することを目指しています。
ただ、約100万円で作れるのはiPS細胞までで、実際に使用するには「分化誘導」して分化させる必要があり、それにはさらにお金がかかるということです。iPS財団が分化を行う場合の費用の目標は約300万で、実際には1人あたり約400万円かかるということです。














