イヤホンそのものは禁止されていない?「必要な音が聞こえない」の基準は
高山氏は交通ルールの周知徹底が不可欠だと強調します。「処罰をするから、処罰を受けたくないならやめろ、という議論である前に、交通安全を守るのはみんなの基本的な責任であるし、当然やればできるんだ。そういう市民感覚が醸成されることが大事」と述べます。「そこを抜きにして、反則金に走ってしまってはいけない。呼吸というか、塩梅の取り方のところを間違えないようにしてほしい」と望みました。

さて、自転車に乗りながらイヤホンを使用する行為は、反則金5,000円の対象となる場合があります。条件付きとされていますがそれは「イヤホン着用のうえ、必要な音が聞こえない状態で運転」していると判断された場合です。ややこしい点があり、高山弁護士に詳しく聞きます。
「道路交通法には、イヤホンを着けてはいけないとは規定していません。問題はイヤホンによって周囲の音が遮断されると、安全な運転に必要な情報が耳に入らず、結果道交法違反になるということです。イヤホンをつけていいかどうかは、各都道府県が定める条例によって異なるという建付けになります。」
「例えば、関西2府4県などでは、条例でイヤホンの使用を禁止しており、その条例を組み合わせて、結果道交法違反になる、という複雑な構成になっています。」「道路交通法は、各地の公安委員会の決まりに違反した場合に道交法で処罰するという形をとっているので、各地が定めた基準に違反すれば、結果として道路交通法に基づき安全運転義務違反と判断されることになります」(高山弁護士)
高山弁護士はこうした複雑さについて、「実際にわからないという人がかなり多いのではないか。そこについて気を遣いつつやらないと乱暴になる可能性がある」と指摘します。