「永田町の人が思ってるほど状況は甘くない」

(豊田真由子元衆院議員)
私も元国会議員だったので、やっぱり政策協定を結ぶとか、会合に出席するときは、私は必ずどういう方でどういう団体で主張をしているのか、それが自分の思想信条とどうかと必ず調べてからやる行為なので、それがよくわからないままです、みたいな話はちょっと筋が通らないと思うんです。これが国民の側からどういうふうに見えているか、どれほど誠心誠意説明しなきゃいけないか、っていうところがやっぱり国民感情とズレができてしまっていて、本当にどうにかしないと永田町の人が思ってるほど状況は甘くないと思うんですよね。
―――菅野さんはどう思われますか。
やはり、政策協定を結んだかどうかって遅かれ早かれ事実が表に出てくることだと思うんですよね。教団側は把握をされてると思いますので。そこはしっかり説明をした上で、プラスアルファどれだけ自民党がこれまで放置してきた被害者救済に、政権与党として努力をするのか、成立させてみせるのか、そこも合わせて問われていると思います。
―――今国会で議論が進んでいるのは被害者救済法案の行方です。自民・公明と、立憲・維新でかみ合っていません。マインドコントロール下での高額献金に関して、野党側は「被害者救済新法」で禁止すべきだ。一方の与党は「マインドコントロールの定義が難しい」としています。
―――第三者による取消権に関して立憲・維新は「第三者が悪質な献金を取り消せる新法を認めるべき」そして与党側は「財産権の侵害に当たるので難しいのではないか」かみ合ってないんですよね。
(菅野志桜里弁護士)
マインドコントロールの定義は難しいからこそ、今まで放置されてここまで被害が広がっているわけです。マインドコントロールされているのかどうかではなくやはり自由な意思決定を奪うような正体隠しをしたまま伝道するとか、恐怖や不安につけこむような献金要求だとか、マインドコントロール状態を作り出すような行為、あるいはそれを利用するような行為、こういう行動が駄目なんですよという客観的な定義づけをすることで一点目はクリアできると思いますので、難しいというだけでなく、やはり解決策を提示して欲しいと思います。
―――財産権の侵害はどうでしょうか?
これは確かに財産権の侵害にあたりうるっていう自民。公明の主張には理由があると思うんです。だからこそどんどん信者さんが献金していく行為が、信者さんの家族に損害を与えるような場合、それこそ奨学金やバイト代を搾取するとか、家族のお金を勝手に献金してしまうだとか、家族の損害にあたるような場合には、家族が損害賠償請求できると、この方向性は多分自公から出てると思うんですけれども、これは悪くないと思うので、むしろ損害賠償請求をやりやすくするような督促を具体的に提示して欲しいと思います。
―――豊田さんはいかがですか?
(豊田真由子元衆院議員)
野党の出された法案も全部熟読したんですけれども、私かつて役所でたくさん法案を作ったり改正したりした経験からすると、このような状態のものはかなり厳しいです。具体的に申し上げると、「困難な状況下で献金とか寄付とかをした方については、家族とか後見人が取り消しができるとか、同意がなければ行為ができない」ってことを定めているんですが、これは民法の成年後見の中の補助っていう制度を参考に作られてると思うんですけれども、大原則は「精神上の障害があるということで判断ができないとか不十分だという認定を医師がする」っていうことが必ず条件に入っているんです。だってそれをしないと、例えば組織や家族の中で揉め事が起こったときに、いやこの人は精神障害があるから駄目なんです。と勝手に周りが決めて裁判所に申し立てができることになってしまうんで、それはご本人の人権を侵害する恐れがあるので、そういうことを司法や行政がしないように、要件をものすごく厳格に法律は定めるんですね。さらに今回は懲役刑とか、3億円の罰金刑とか刑事罰が法案に入っているので、罪刑法定主義って厳格に要件を定める必要があって、特に人権を制限する法律のときは、非常にたくさんの関係団体の方や専門家や一般の方の意見を聞いて、関係省庁と全部調整をした上で、たぶん関連法案が何十とか何百とか出てくるんですよ。それを全部精査して法律案を作って出すっていう数か月とか数年単位の話です。
人権を守るという点から言うと、被害者の方の人権を守るのも必要だし、あなたはそういう行為ができない人なんですよっていう認定をするにあたって宗教だけの問題ではなく、慈善団体や学校法人に高齢者が多額の寄付をするっていうことはいっぱいあって、それをご家族が「うちのもうおじいちゃんは認知症だからその行為は駄目なんです」みたいな例も山のようにあるわけですよ。それをすべからく精神障害がある方だというふうに国家が認定をしなきゃいけないんですね。では教義を信じて献金をしている方は皆さん精神障害がある方っていうふうに国家が規定をするんですか、って話になるので、緻密な議論をしなきゃいけなくて、これはもちろん救済すべきなんだけれども、ちょっとこの法案一本では実務は運用できないし、著しく一般の方の人権を侵害する恐れがあるので、ちゃんとやらないといけない。














