消費者庁の霊感商法等の検討会委員を務めた菅野志桜里弁護士は「選挙至上主義のあさましさが可視化された」とバッサリ。東京大学で同級生だった豊田真由子元衆院議員とダブル解説しました。自民党の副大臣が旧統一教会や関連団体が求めた「推薦確認書」に署名していたことが相次いで発覚、与党の要職が選挙協力と引き換えに根深い関係を結んでいた実態が改めてクローズアップされる中、支持率の低下と被害者救済法案の行方はどうなるのでしょうか。

―――岸田内閣の支持率はJNN世論調査で3ヶ月連続で最低支持率を更新していて、不支持が57.7%、支持が39.6%で初めて40%を割り込みました。菅野さんはどのように分析されますか。
(菅野志桜里弁護士)
そうですね。旧統一教会問題で被害者を救済し、自民党との関係を明らかにして関係を断つという方針の腰が定まらない現象が次々に起きているということが支持率の低下にも繋がっているんじゃないかと思います。特に法改正については、54項目の質問というように、難しい理由を主張するんですけれども、自民党としてそれを乗り越える解決策や提案がないというところも響いているんじゃないかと思います。

―――方向性は見えているが、なかなか定まらないのはどうしてでしょう。

やはり、自民党総裁である岸田さんと、政党としての自民党、そして選挙協力を結んでいる公明党、この方向性が一致してないような気がします。これは岸田内閣のリーダーシップの問題もあるんじゃないかと考えます。

―――豊田さんはどう見ていますか。
(豊田真由子元衆院議員)
そうですね、与野党を公正中立に見て今の法案の状況は両方に問題があると思っています。ただやっぱり岸田内閣自民党これ圧倒的に説明が足りないです。今菅野さんもおっしゃったように今の野党の法案に問題があることも事実なんです。

一般国民に対しても人権侵害が起きる可能性があるっていう懸念があって、それが具体的にどういうことなのかを具体的に説明をした方がいいと思います。一方で、被害者の方の救済には絶対に必要なので、そのために自分たちは政権としてこういうふうに救済したいと思っている、ちょっと時間がかかるけど、こういうスケジュールでやりたいと思っているっていう道筋を示すことによって、理解を得るっていう努力をしないと、今のままだと宗教団体との関係があるからやりたくないんじゃないの、と見えてしまうので、きちんとした事情と展望を被害者の方と、国民の側に寄り添った形の説明をしないと、これは本当に支持率がどんどん下がると思います。

―――さて、井野俊郎防衛副大臣は、教団関係者を国会見学に招いたとか、ご自身の後援会は「俊世会」にしているとか指摘されています。そして旧統一教会や関連団体との推薦確認書にサインをしたとして、山田賢司外務副大臣も大串正樹副大臣も署名しました。署名イコール事実上の政策協定となります。菅野さんによりますと「旧統一教会と関係を結ぶのはあさましい」「推薦確認書に署名をすれば政策への影響がある」ということです。やはりサインすることは非常に重いということですね。

その通りだと思います。旧統一教会は宗教団体ということ以上に、これまで民事の確定判決で繰り返しその組織的な違法行為を指摘され続けてきた団体で、そういった違法性が明らかになっている団体と票のためとはいえ、推薦確認書などでかなり濃い連携をしていくっていうのは、やはり選挙至上主義のあさましさが可視化されてしまったという気がします。また、外務副大臣ですとか防衛副大臣ですとか、国家の要となる省庁の副大臣という要職にある方が、かなり特異な対日思想をもとに日本の信者さんから金銭を搾取して韓国に流すだとか、日本の女性を韓国に嫁がせるだとかそういったことも指摘されている団体で、そことの関係の深さ、これを今後この根深い関係を本当に断っていくのかっていうところは問われていると思います。

―――推薦確認書を交わすということ自体はあるんですか。

宗教団体に限らず、様々な団体と「こういう政策を実現してください、わかりました。その努力をしますので選挙の応援をください」いうような形で推薦確認書を交わすということはあることです。それ自体が悪いわけではないけれども、違法な団体とやるのはもちろん駄目ですよね。そしてまた政策内容も、自分の政策と全然違うのにとか、推薦を求める団体側にすごく有利に働くようなそんな政策誘導に乗っかるのは駄目だと様々な問題点があると思います。

―――そして、JNN世論調査では教団との関係について、説明のない大臣と党幹部に関して辞任すべきだという人が65%、辞任する必要はないが25%でした。