震災と原発事故で一時避難生活を送った福島県浪江町の小学校の子どもたちが、ふるさとについて考えた展示が、全国で反響を呼びました。関西で展示を企画した女性が、いま福島県会津若松市にある展示と再会しました。

北村美香さん「久しぶりに見て、やっと福島で展示ができたんだと思って見ていますね」

滋賀や大阪などで博物館にまつわる研究をしている、学芸員の北村美香さん。北村さんがこの取り組みに触れたのは、4年前でした。

北村美香さん

「10年間ふるさとなみえ博物館」と題したこの展示は、4年前に閉校した津島小学校の児童たちが、避難先の二本松市で、ふるさと浪江町について自分たちで調べ、まとめた資料などを展示したものです。北村さんは、この取り組みを広く知ってもらいたいと滋賀など、関西で巡回展を開きました。

北村さん「地域のことを思う気持ちというのを、離れたり、色々な要因があっても持ち続けている『それを伝えたいという気持ち』は博物館の我々と共通するところもあるんじゃないかなって」

とりわけ北村さんの印象に強く残ったのが、旧津島小学校の最後の卒業生で。博物館の館長をつとめた須藤嘉人さんが書いた『博物館の使命』でした。

北村さん「もちろん博物館なので、理念とか使命がどの館も持っているんですけども、日頃のバタバタしたり忙しさにかまけて後回しにしがちなのを、あらためて大事にしないといけないというのを嘉人くんに教えてもらいました」

10年間ふるさとなみえ博物館の取り組みは「災害が年齢を問わずひとりひとりの歴史であることを突きつけ、鑑賞する人に強烈な問題意識の発揚と行動変化を促した」として、博物館の専門家でつくる日本展示学会の奨励賞を受けました。

北村さん「この展示を見ていただいて、そこからそれぞれが何かを感じたり、考えてもらうようなきっかけになると思いますので、ひとりでも多くの人に見てもらいたいなと思います」

この10年間ふるさとなみえ博物館の展示の一部は、6月29日まで会津若松市の県立博物館で開かれている企画展の中で紹介されています。