小さな小さな数珠をお寺で作る会が8日、長野市で開かれました。
参加者が数珠に込めた思いは。

長野市若穂綿内の善法寺で開かれた「いのちの時間」の集い。
カラフルなビーズで参加者が作るのは、赤ちゃんの手のひらほどの小さな数珠です。



参加者:「娘を白血病で亡くした。こういうのを作って娘の遺影だったりそういうところにかけてもかわいいかな」


流産や死産などで子どもを亡くした家族が、思いを込めて作ります。

善法寺 宇佐美智瑞さん:「ご自身の命であるとか、大切な方の命に少しでも向き合う時間になればいいなというふうに思っています」


会を企画した宇佐美智瑞さん。寺は宇佐美さんの実家です。

宇佐美さんは、京都にある龍谷大学の大学院で浄土真宗について学びを深め、「認定臨床宗教師」の資格を取りました。


善法寺若院 宇佐美智瑞さん:「研修は終末期の緩和ケア病棟で、患者さんの思いを聞く。東日本大震災の被災地で被災者の方々から思いを聞く。お寺とか宗教施設ではなくて公共空間でそういう方々に心を寄せていくのが臨床宗教師」

宇佐美さんの呼びかけに講師として参加した山下恵子さん。


松本看護大学で将来の看護師を育てる山下さんは、病気や事故などで子どもを亡くした親の会「たんぽぽの会」の代表を務めています。

たんぽぽの会代表 山下恵子さん:「生まれてきた子どもと妻を亡くした男性、赤ちゃんが生まれたときに出生届と死亡届を持っていく気持ちを分かってほしかった。元気で生まれて当たり前の中で亡くなるってどういうことなのか、お父さんの言葉刺さりましたね。出生届と死亡届を出すっていうのがどういうことなのか」

善法寺若院 宇佐美智瑞さん:「その方の思いってその人以外にはわからないものですし、その方に心を寄せさせていただく僕はそれしかできないですけど。今回のお寺でやるのも選択肢の一つにそういう選択肢になればいいなって思います」


たんぽぽの会代表 山下恵子さん:「年月が経つにつれて語れなくなる。少しずつ間隔はあくが区切りはつけられない」

講演で山下さんは、自身の経験も語りました。

山下さんは30年前、当時3歳だった長女を白血病(急性リンパ性白血病)で亡くしました。

たんぽぽの会代表 山下恵子さん:「たんぽぽの会ではみんなそれぞれ違う立場の人たちが死産流産いらっしゃいますし、事故とか病気とか長い闘病の末というのがあるんですけど。違っているからこそ響き合ってそれぞれが思いをその人に思いを寄せたりだとか、そういうことができてるんじゃないかな。会ったことないんですよ、子どもたちに。みんなだけど。話をしているとあたかもその子に会えたようなそんな気持ちになっていきますね」

たんぽぽの会代表 山下恵子さん:「作業することによって気持ちを込められたり吐き出す、そういうことはできる。お寺で数珠を作る意味もあると思った」


思いを込めて作られた数珠が、家族の手の中で輝きます。


参加者:「その子を思い出しながらなんとなく色味とか考えながら作れてとても楽しかったです」
参加者:「亡くなった子の名前を3つあわせて完成させました。その時のことを思い出しながら作れたかな。不器用なので子どもにも手伝ってもらいながら、何とか完成できたので大切にしたいと思います」

宇佐美さんは今後、「臨床宗教師」として海外での取り組みを学び、自身が得た経験を故郷・長野に還元したいと考えています。


善法寺若院 宇佐美智瑞さん:「自分が生まれ育った長野で、長野にもそういう場所があったらいいなというふうに思っている。一人の宗教者として一人でも多くの方とともに生きていければと思っている」