特集「この人に聞く」今回は、鹿児島県霧島市に本社を置くJAC=日本エアコミューターの社長に就任した増村浩二さんです。

40年以上に渡り、奄美群島と各地をつなぎ、島民の暮らしを支えてきたJAC。人と地域をつなぐことで奄美群島のさらなる発展を目指します。

(増村浩二社長)「鹿児島の地を離島地域も含めて満喫できればと思っていて、社員、仲間と韓国岳にも登って、楽しませていただいている」

ことし4月に日本エアコミューターの社長に就任した増村浩二さん、57歳です。就任2か月で就航する県内7つの離島すべてを訪れました。島の自然や多様な文化を体感したといいます。

(増村浩二社長)「島がみんな独特の文化を持っているなという風に感じて、やはり先祖・先人から受け継がれている文化を大切にしていく必要があることを、各地域を訪問して感じた」

群馬県出身で、早稲田大学を卒業後、日本航空に入社。国際路線事業に長く携わり、運航の効率化など経営戦略を図ってきました。

JACの利用者は新型コロナで4割まで落ち込みましたが、現在は7割近くまで回復。人口減少や燃料費の高騰など課題もありますが、自身の経験を生かし、JACをさらなる上昇気流に乗せたいと考えています。

(増村浩二社長)「路線を維持しながら、どうこれから組み立てて、どういう機材席数サイズで運航していくのが良いのか。それがエアコミューターの成長に中長期的にどうつながっていくのか。将来的な成長するビジョンのようなものを私自身が描いていくことが大きな役割の一つ」

JACが結ぶのは、鹿児島県内の離島のほか、大阪や沖縄まで15の空港。1日70便以上を運航しています。新たにバトンを受け取った増村さんが目指すのは、飛行機での移動を通じて「地域と人をつなぐ」ことです。

3年前から取り組む環境保全ツアーは、これまでに喜界島や与論島などで18回実施しました。学生などの参加者と海岸の清掃で奄美群島の自然学習や、島民とのふれあいを通じて、「移動」だけでなく「地域との交流」を生み出し、鹿児島の魅力を発信しています。

(増村浩二社長)「(島ごとに)文化や特徴があるので、そこを理解しながら入ってもらうことが大事。地域の魅力や、地域の方々がどう支え合っているのかなど、そういう文化も知る機会を作っていくことで、『また戻ってきたい』、『またあの人に会いたい』とか、つながりが増えていけばいい」

およそ480人の従業員のトップに立つ増村さん。大切にしているのは、コロナ禍で乗客が激減し、逆境に立たされていた時に出会ったある言葉です。

(増村浩二社長)「『和顔愛語』、やはり常に笑顔でいようっていうこと。(コロナで)お客様は激減というか、ほとんど0に近い状況になってしまって。何か救いの言葉を求めるためにだったのか、数年前に(寺に)お参りに行った時にいただいた言葉だったと記憶している。色々あるけれども、笑顔でいるのは大事」

これからも“地域と人をつなぐ翼”であるために。増村さんは、改めて気を引き締めます。

(増村浩二社長)「この会社をより良くしていくためには、地域の方々に愛され、信頼されていくことが何よりも大事。まず安全第一、安全運航で、しっかり信頼を得ていくことが大事。離島の皆さまの航路として、しっかりと維持していきたい」