投与期間は原則1年半でも…“その人らしく生活したい”と願う患者や家族の希望に
2025年1月、レカネマブの投与から1年が経ち、認知症の進行を調べる検査が行われた。

――今年は何年でしょう?
美香さん「令和7年」
――100から7ひくと?
美香さん「93」
――そこから7ひくと?
美香さん「86」
記憶についての質問のあとは、視覚や空間認識を調べる。紙に書かれた図形をそのまま書き写していく。

美香さん
「これが厳しいんだなあ。どうしてもこれは…いつも厳しいなあ」
検査の結果次第では「レカネマブ」の投与は中止になるかもしれない。検査から4日後、結果を聞きに母・幸子さんと病院に向かった。
武田医師
「物忘れの検査もしましたが、そんなに変わってはないです。ただ、関田さんの視覚の問題。視覚の検査に関しては記憶の面でも少し悪い面があるので、そういったところのテストの結果は少し悪かったようですが、全体として概ね変化はないかなと思います」

――薬を点滴していなかったら病気は進行していた?
「確実にすすんでくると思いますし、関田さんのご年齢ぐらいの比較的若い患者さんは進行が早いと言われていますので、そういったことを考えると、進行していないということ自体は非常にいいことだと思っています」

美香さん
「やっぱりこのまま私がもっと頑張って、ぐっと食い止められるように一緒に、体ともども精神的にも頑張っていきたいなと思います」
母・幸子さん
「治らない病気だということが頭にありますので、とにかくあと1年で90歳ですけど、この子を支えていけたらいいなという感じはあります」
レカネマブの投与期間は原則1年半。美香さんは視覚の認識に問題はあったが、副作用もなく6月末までの投与が決まった。
幸子さん「よかったよかった。悪くなってなかったらオッケーよ」
美香さん「根性で頑張らないと」
幸子さん「頑張ろう」

「レカネマブ」は治す薬ではなく進行を遅らせる薬で、意味がないという人もいる。しかし、わずかな期間でもその人らしく生活したい、と願う患者や家族には希望だ。