製造大手の「技術」を集結
「神戸港の近くでサーモン約850匹の水揚げに成功しました」
4月に初めて水揚げに成功したのは『川崎重工業』。
陸上ではなく、兵庫・神戸港すぐ近くの海に“ビニール製の大きなお椀型の水槽”を浮かべての養殖です。

海上養殖の場合、懸念されるのが“菌・寄生虫などの侵入”ですが、そこに「本業の強み」を発揮。
食料安全保障担当‧佐野敦司さん:
「水槽は閉鎖式になっているので、アニサキスといった寄生虫が入らない“無菌の魚”が提供できる。さらに元々当社が行っている下水処理施設などの設備機器の製造などで培った知見を活かし、中に入れる海水もあらかじめ殺菌している」

長年本業で培ってきた技術を集結し、食の安全だけでなく、魚にとっても最適な環境を生み出しているといいます。
山根部員:
「身はぎゅっとしているけど、口当たりはさっぱりしていてとてもおいしい」

それにしてもなぜ、製造業の大手がサーモンの養殖に参入したのでしょうか?
佐野さん:
「設備の面でコストは上がるが、何よりも消費地に近い都市近郊で養殖ができるのでしっかり採算がとれる。今後はサバやブリなど他の養殖の魚の展開も視野に、2027年度あたりには皆さんにお届けできれば」
「休止発電所」で年間10万匹
『九州電力』がパートナー企業と始めた陸上養殖は、「豊前発電所」(福岡・豊前市)の敷地内。なぜ、この場所なのかというと…。

『フィッシュファームみらい』CEO 篠﨑正弘さん:
「発電所は2026年3月での廃止が決定している。そこで、“遊休地”を使ってサーモントラウトを年間で10万匹育てている」

老朽化などの理由で既に発電を停止。東京ドームが10個分ほどの広大な敷地が
遊休地となり、その活用方法として選ばれたのがサーモンの養殖だったのです。

篠﨑CEO:
「孵化して成魚になるまでの時間が非常に短いところも、サーモンを選択した理由の一つ」

すでに福岡県内の量販店やレストランなどで【みらいサーモン】として販売。
『ゆめタウン行橋』(行橋市)では、100g400円前後と一般的な養殖サーモンと比べ100円ほど高い値段ですが、食感に特徴があるとのこと。(※販売日・店舗によって値段が異なる可能性があります)
山根部員:
「身がぎゅっと詰まっていて、ぷりぷりの食感が楽しめます」
使われずにいたモノや土地を活用し、本業で培った技術を集結。今後は、どんな企業の「養殖サーモン」が登場するのでしょうか?
(THE TIME,2025年6月4日放送より)