SDGsについて考えるシリーズ「つなごう沖縄」。規格外のフルーツや野菜を、フリーズドライ加工し、県産食材に新たな価値を生み出す取り組みを紹介します。
糸満市にある、すえひろ農園。パッションフルーツなどを育てるこちらの農園では、傷やいびつな形が理由で出荷できない規格外の農作物が出るとある企業に買い取ってもらっています。
▼すえひろ農園 徳元春雄さん
「普通だったら、売れない物をあげたり、食べさせたりするしね。捨てることもあるから。それを引き取ってもらっているから、助かっているよ」
フリーズドライ加工を手がける「ハニーフュージョン」。県内の農家から仕入れた規格外のフルーツや野菜を使い、商品開発を行っています。今が旬のパッションフルーツの場合、果肉や果汁を丁寧に取り出し、冷凍したものをカットします。
▼Honey Fusion マクブライド直子社長
「フリーズドライは、形がしぼまずに残るんですよ。なので、こういったキューブの形にすると面積もほぼ変わらずに水分だけが抜かれてサクッとした状態で、保つことができます」
次は、乾燥の工程へ。加熱をせずに乾燥させることで酸味と甘みが凝縮できるといいます。
▼Honey Fusion マクブライド直子社長
「フリーズドライの時間は、水分の多いものだったら3日前後かかったり。ものによっては、5日かかるものもあったりするんですよ。水分の少ないものだったら、1日とか数時間でできるものもあるんですけど、フルーツはだいたい水分が多いので、平均2~3日はかかります」
直子さんの夫で、副社長のグレン・マクブライドさん。ニュージーランド出身のグレンさんは、本場で空手を学ぶために、沖縄に移住。琉球大学の大学院で農業経済を学ぶ中で、沖縄特有の問題を知ったといいます。
▼Honey Fusion グレン・マクブライド副社長
「沖縄は農業の場合は、年中害虫が発生したり、台風による被害が多くて、A級品はもちろん出るんですけど、B・C級品は普通は販売できないものが多い。農家は一生懸命作っているが、収入にならないから、それをどういう風に収入化できるかずっと考えていました。フリーズドライは非常に賞味期限が長くて、商品化したら、県内・県外・海外でも市場に出すことができるかなと思いました」
色や香りはそのままに旨味凝縮 島らっきょうやオクラは酒の肴におすすめ
豊見城市にある店舗では、フリーズドライ加工したフルーツを使ったマヌカハニーやフリーズドライ商品を販売しています。
▼Honey Fusion マクブライド直子社長
「こちらがフリーズドライしたフルーツとお野菜になります」
▼照屋貴奈リポーター
「色も鮮やかなままですね。香りも残っていますね。では、いただきます。甘みとすっぱさが凝縮!」
▼Honey Fusion マクブライド直子社長
「酸味が凝縮されていて、生よりもすっぱいですよね。お野菜に関しては、おつまみとしても人気です。例えば、島らっきょうとか、オクラとかミニトマトは男性のお客さまにも人気で、お酒が進むと言われています」
島豆腐など、加工できる商品は多岐にわたります。賞味期限は約1年。フードロスを減らし、食材に新たな価値を生み出す取り組みはSDGsの目標につながっています。
台風時の非常食にも!おいしさをそのままフリーズドライ
この日、初めてフリーズドライ加工したパッションフルーツを食べる徳元さん。
▼すえひろ農園 徳元春雄さん
「いいよ。タネも上等よ。パリパリぐゎー」
おいしさのあまり、食べる手がとまりません。
▼すえひろ農園 徳元春雄さん
「おいしいね、もっと食べていいか?うん!これ、上等。いい商品だよ。よく開発したね」
▼Honey Fusion マクブライド直子社長
「沖縄は台風とか災害が多いので、外に出せない。外から沖縄に食物が届かないことがあるじゃないですか。なので、なるべく貯蔵食とか非常食も県内のものを使って、みんなで食べることで、間接的に農家の応援になる。それをみんなに知ってもらいたいなと思います」
規格外の食材をムダにしない商品作りがフードロス削減だけでなく、農家の収入アップにもつながっています。