更生支援者の願いと葛藤 出口の見えない“無期懲役囚”たち

岡山市の更生保護施設「古松園」では、身寄りが無い出所者達が半年間無料で生活している。

35年近く服役して仮釈放後5年で亡くなった無期懲役囚Bの法要が行われた。

服役中Bは刑務作業として備前焼の工房で働き、“名人”と呼ばれるほどの腕に達した。

服役中のB
「雑念が入ったら自然に体(姿勢)に現れてきます」

古松園 岩戸顕 前園長
「出所後も備前焼をやりたいと言っていた。腕も良かったんでしょうね。備前焼に携われることが出来たら幸せだというようなことは言っていた」

Bは100万円ほどの報奨金(刑務所での作業賃金)を古松園に預けて自分の法要を依頼していた。生きている限り“無期懲役”は続くが、死亡した事で彼の刑は終了した。

岩戸前園長は服役中の無期懲役囚77人の身元引受人だ。

古松園 岩戸顕 前園長
「一度(社会に出して)試してやりたい。彼らが今までのことを悔いを改めて、こんな気持ちだということを生活で実践させてやりたい」

しかし、酷な犯罪記録を見る度に遺族への同情が強くなると言う。

――犯罪自体は相当悪質ですか?

古松園 岩戸顕 前園長

「悪質というか残忍です。被害者は何の落ち度もない人ですから。全く関係のない民家に忍び込んで強盗して、家人が出てきたから殺したとかいう。(被害者遺族にとっては)許せないです」

高い塀を越えて東北にも“春”がやってきた。

宮城刑務所では歩行が可能な無期懲役囚に毎年満開の桜を見せている。

全国の無期懲役囚は約1700人。仮釈放の平均服役年数は40年近くに及んでいる。

出口の見えない“無期懲役囚”をある少年刑務所の所長はこう詠んだ。

少年刑務所長
「無期の子の 年金開始を知らせむと 面会票書く父親(ちち) 卆寿(90歳)なり」