塀の中の手厚い“介護” 受刑者にかかる巨額の医療費

入浴は一般の受刑者同様、1週間に3回、10分が目安だ。
転倒防止のために3人の看護師が付き添う。
――気持ちいいですか?
「気持ちいいね」
――ここは刑務所の中ですよ
「だね。わかった」
寝たきりの場合はベッドでの“入浴”となる。

病棟担当 高野将幸 看守長
「究極の福祉なのかなと。賛否両論はあると思う。被害者からすれば、恨みや悔しさがあると思うので、心情としては複雑ですね」
病棟では受刑者2人が“衛生係”として働く。1か月に1回の理髪の面倒も見る。
“獄死”の現実を知るからか、衛生係の再犯はほとんど無い。
――亡くなった方も多いのでは?

60代・覚せい剤・服役9回
「私が来てから44~45人。1週間に3人亡くなったときもありました。刑務所では死にたくない」

食事は病状に応じて管理栄養士が献立を作る。
看護師
「お昼食べてないからお腹すいた?無理な時は言ってください」
「もうたくさん」
高齢化で手厚い介護をせざるを得ない現状に所長も戸惑いを隠せない。
――一般の人から見るとどう思うか、考えたりしますか?

宮城刑務所 林文彦 所長
「確かに恵まれてると社会の人が思うのも致し方ない」
――犯罪を犯した人じゃないか、という声もあると思うが
宮城刑務所 林文彦 所長
「そうですね。(刑務所を)出られないで一生を終える人、その人を人間らしく最期を看取るのも我々の仕事」
矯正施設で受刑者にかかる医療費は巨額だ。

最高検参与 藤本哲也 矯正協会会長
「実際問題として刑務所は全ての医療費が無料。年間50億円を受刑者の医療費に使う。社会並みの医療をしなければいけないという規定がある。受刑者1人に年間300万円の収容費用もかかっている。これだけのお金を費やして加害者に対応しているわけだが、被害者がほったらかしではないかという意見が出てくる」
