「マグネット効果」で“ついで買い”を誘う狙いも

TBS報道局 経済局 髙見知可さん:
おにぎりの重要性は、コンビニの陳列棚にも表れています。
おにぎりの陳列棚は一番奥に設置されることが多く、入口から目に付きやすいですが、店内を歩かないと買いに行けない場所に配置されます。
流通経済研究所の池田満寿次 上席研究員によると、こうした配置にする理由に「マグネット効果」と呼ばれるものがあり、「客を奥まで引きつけ、“ついで買い”を誘う」狙いがあるということです。
大手コンビニ関係者は「おにぎり目当ての客が“ついで買い”をする売り上げや集客効果は、仮にセールで身を切ってでも得たい大事なもの」だとしています。

コメや海苔などの価格高騰を背景に、コンビニ最大手の「セブン-イレブン」は、ツナマヨネーズのおにぎりを、2025年に入って2回も値上げしています。
2月:138円
3月:149円
5月:167円
※価格は全て税込み
ただ、各社は物価高の中で戦略を練っており、大きめのおにぎりを出したり、専門店とコラボレーションしたり、付加価値をつけることで広く需要を取り込もうと奔走しています。
井上貴博キャスター:
ドラッグストアなどの競合も出てくる中、コンビニエンスストアとしても厳しいだろうと思います。
また備蓄米の放出で、1キロで販売する企業が出てくるなど、民間企業の知恵はこれほどまでにたくましいのかと、誇らしく感じました。

パナソニック社外取締役 ハロルド・ジョージ・メイさん:
コメがまだまだ日本の文化に大事な役割を果たしているのだと感じました。
コンビニの場合は競争がとても激しいので、まずは来店してもらわないといけませんが、その来店のきっかけが、おにぎりです。
コンビニの全ての商品の中でも、お弁当とおにぎりが1位、2位で、来店したついでにドリンクやお菓子など、そのときに必要な他のものも買うということで、非常に大事な商品です。
昔はおにぎりというと「安くて手軽」なものでしたが、今は普及しているので値上げだけではなく、味を改善したり、具材を贅沢にしたりして、「贅沢で手軽」なものになっています。
2018年のデータによると、コンビニだけでおにぎりを1年間で66億個売っています。つまり1人当たり約50個買っている計算になり、客を引き入れる大きなきっかけになっているようです。