食料不足による“人とシカのトラブル”懸念

奈良公園のシカは今、別の問題も抱えています。春夏の主食である「芝」が減ってきているのです。急激に増えた観光客が踏んでしまうことで芝が根っこから切れてしまっています。修復を試みた場所もありますが、3年前の写真と見比べても、変化は一目瞭然です。
立澤さんは、こうした食料不足は「シカだけの問題ではすまされない」と指摘します。
(北海道大学 立澤史郎招へい教員)「自然の食べ物が減った分、人間に食べ物を依存する。人間に対する『食べ物をくれ』という要求が強まってきて、場合によっては非常に攻撃的になることが考えられます。もうひとつは、食べ物がないんだから、平たん部にいても仕方がないということで、農地の多い公園の外側へ出ていく個体が増える可能性がある。そちら側に出て行ったシカは農作物被害を起こす可能性が高くなると思います。いずれにしても、人とシカの間のトラブルがより強まる可能性があると思います」
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市民からもシカの食料不足を懸念する声があがっています。ドングリの木の伐採中止と芝地の回復を求めて市民団体が署名運動を開始。1か月足らずで約2万5000人の署名が集まり、5月、奈良県の山下真知事宛てに要望書を提出しました。














