コメの価格高騰は主食用米以外にも影響が及んでいます。
製造原価の半分を酒米が占めるという日本酒業界では2025年に獲れるコメの入荷量・価格ともに先行きが見通せません。

(岩手県酒造組合 久慈浩介会長)
「とにかく米がない可能性があるっていう。酒米を手に入れられないっていうのを、我々は一番心配しています」
岩手県内20の酒蔵をまとめる県酒造組合の久慈浩介会長です。

酒蔵は使用する酒米の大部分を、岩手県酒造組合を通してJA全農いわてから共同購入しています。その量、年間およそ800トン。
ところが、2025年獲れるコメが予定通り入荷するか分からないというのです。

酒造りに使用されるコメには2種類あって、一つは「山田錦」や「吟ぎんが」などの酒造好適米と呼ばれる専用品種です。

主食用米と比べて草丈が高く、倒伏しやすいなど栽培が難しいため通常のコメより1割程度高値で取引されます。

もう一方はせんべいやみそにも使われる加工用米と呼ばれるもので、品種は「ひとめぼれ」など主食用米と変わりません。
加工用として主食用米より安く取引されますが、国の交付金で価格差を相殺することができます。

ところが2025年は主食用米の価格の高騰により、これまでの酒米の価格を上回り、生産者が酒造り用のコメから主食用米に移行する可能性があるとして、日本酒造組合中央会は危機感をつのらせています。