第三者委員会の委員長「知事の証言は採用できないんじゃないかっていう結論に達した」

――お話聞いてもいいですか

井ノ本知明 元総務部長

「困りますよ」

――県議について少しだけ…
「すみません」

今回、第三者委員会は元総務部長の井ノ本知明氏が、このプライバシー情報を、3人の県議に漏えいしたと認定した。

「報道特集」の取材に応じた、第三者委員会の工藤涼二委員長は、この情報漏えいが元県民局長を追い詰めた原因の一つだと推測する。

――(井ノ本)元総務部長が行った情報漏えいは、非常に重い意味があるようにも思うんですけれども

第三者委員会 工藤涼二委員長 
「そりゃ重いでしょうね。おそらく自らと思われる命を落とされてるわけでね。今回のような情報漏えいとかあったからこそ、起きたんだと思うんですよね」

井ノ本氏は当初、第三者委員会に対し情報漏えいを認めていなかったが、2025年2月、人事課に出した弁明書で一転して漏えいを認め、こう主張した。

第三者委員会の報告書
「知事及び元副知事の指示に基づき総務部長の職責として正当業務を行ったにすぎない」

漏えいは「知事と副知事の指示だった」とした。

井ノ本氏によると、それは元県民局長の公用パソコンを取り上げた後の2024年4月初旬。総務部長も経験した幹部A氏と共に、斎藤知事に「公用パソコンにプライバシー情報にかかわる大量の文書があった」などと報告。

知事は、こう答えたという。

「そのような文書があることを議員に情報共有しといたら」

第三者委員会は、このとき同席していたA氏にも事情を聞いた。すると…

元総務部長A氏
「根回しというか議会の執行部に知らせておいたらいいんじゃないかという趣旨と理解できる知事からの発言があった」

その後、A氏は、斎藤知事からの指示を片山副知事に報告。片山氏は第三者委員会の聴取に対し、こう話したという。

片山安孝副知事(当時)
「『知事から元県民局長の私的情報について議会と情報共有しておくようにとの指示があった』と聞いたので、特に反対もせず、井ノ本氏において『根回し』をするように指示した」

「指示はしていない」という斎藤知事と、完全に食い違う3人の証言。

元裁判官でもある工藤委員長は、情報漏えいが「知事の指示により行われた可能性が高い」と結論づけた理由をこう話す。

第三者委員会 工藤涼二委員長 
「知事のお話を伺ったんですね、3月6日でしたかね。そしたら知事は文字通り真っ向から(指示を)否認されて。『一切そういうことはしていない』ということを即座に否定されたんです。それはちょっと不自然だなって。

片山さんはやはり知事と同じように、そんなこと言ったら責任を負う立場ですよね。そういう責任を負う立場の方が、『指示があったということを聞いた』と、自分もそれに同調して『(根回しを)やっておくように』と。そうなると、この片山さんの供述の証拠価値ってすごく高くなりますよね。3名の方の供述がおおよそ一致している。知事の証言は、採用できないんじゃないか、っていうそういう結論に達したんですけど」

斎藤知事は、第三者委員会の会見のあとも主張を変えていない。

第三者委員会 工藤涼二委員長 
「第三者委員会としてはですね、私達の判断に自信を持ってます。知事が未だに否認されてても、それを何回繰り返されても我々としては、その供述は採用できません」

そして「個人的な見解」とした上で、こう話す。

第三者委員会 工藤涼二委員長
「この調査報告書を受け入れてくださっていない知事のスタンスっていうのは、非常に残念だと思います。間違ったと思ったところは、素直に認めて謝って(県政を)前に進められたらどうなのかなと。それがやっぱり、県民にとっては一番幸せなことじゃないのかなって気は個人的にはしますね」