◆松本愛希穂さん
「でも『挑戦していく』というのは、今までの人生でずっとやってきたことだったので、『プロでやる』と決めました」
プロという厳しい世界だが、自分の可能性を試してみたい。そんな決意と覚悟を胸に、2020年、兵庫県姫路市に本拠地を置く「ヴィクトリーナ姫路」に入団した。当時のトップリーグ・V1という“国内最高峰”のステージでの活躍が期待されていたが、入団1年目に大きな“試練”が待ち受けていた。
◆松本愛希穂さん
「入団して1年目の最後、大事な試合を控えていた時、体育館でスパイクを打った直後に、膝を切ったので…」

診断は「左ひざ前十字靭帯断裂」。スポーツ選手にとって選手生命を左右するほどの重傷で、リハビリを経て復帰するとしても、2年はかかる大けがだ。
◆松本愛希穂さん
「すごく悔しかったです。『なんで…?』って思いましたけど、『絶対、復帰してやろう』と、医務室に運ばれた時に思っていました。けがをしてから、バレーボールをするのは1年ぐらいでできたんですけど、元の身体の状態に戻す・パフォーマンスを上げていくのには、トータルで2年弱くらいかかったと思います」
チーム内競争が激しいアウトサイドヒッターというポジションで、けがによる長期離脱…。焦りや怖さもあったが、監督、チームメイト、そしてファンの支えを胸に、リハビリに向き合った。何よりも支えになったのは、自身がバレーボールを始めるきっかけとなった母の存在だった。
◆松本愛希穂さん
「リハビリ期間、母が料理を作りにきたり、家事をしに来てくれたりしたこともありましたし…。電話が毎日のようにかかってきて、いっぱい心配してくれて、母が自分のことを気にかけてくれているというのが、私にとって“心の支え”でしたね」

多くの支えを受けながら、長いリハビリを耐え抜き、松本さんは1年8か月後にコートに戻った。復帰戦を「言葉にならないくらいうれしかった。スパイクで得点を決めた時は、バレーボールを始めた頃の感覚に似ていた」と振り返る。
大好きなバレーボールを、V1の舞台でまた始められる。大けがから復活し、やっとの思いで“再スタート”を切った松本さんだったが、そんな彼女に、次なる“試練”が訪れる。