バレーボール・SVリーグ、ヴィクトリーナ姫路で活躍した松本愛希穂さんが、5月11日、現役を引退した。高知県出身の“SVリーガー”として活躍した松本さんの、これまでの軌跡を振り返るとともに、引退した今、“未来への自分”に託した思いを聞いた。
5月11日、兵庫県姫路市で、バレーボールの国内トップリーグ・SVリーグに所属する「ヴィクトリーナ姫路」の、ファン感謝イベントが開かれた。そこでは引退選手のセレモニーも行われ、ひときわ大きく温かい拍手に包まれた選手がいた。

「背番号8番、松本愛希穂」
松本愛希穂(まつもと・あきほ)さん、27歳。2024年10月に発足したバレーボール国内最高峰・SVリーグで、当時、唯一の高知県出身選手だった。
2020年にヴィクトリーナ姫路に入団し、身長170cmと小柄ながら、両サイドからスパイクを打つアウトサイドヒッターとして活躍した。
持ち前の明るさで多くのファンに愛された松本さんだが、彼女が歩んできた21年間のバレーボール人生は、決して平たんではなかった。
1997年6月29日生まれの松本さんは、高知県芸西村の出身。高知市内から東に車で30分ほどの、ハウスによる施設園芸が盛んな太平洋沿岸の村で、海のすぐ近くで育った彼女は、小学1年生の時にバレーボールを始めた。

◆松本愛希穂さん
「バレーボールをやっていた母と、元オリンピック選手・高橋みゆきさんの影響です。高橋さんが世界の選手と戦っている姿を見て始めました」
母は、実業団チーム入りを期待されたほどの選手だった。その“遺伝”もあってか、バレーボールに熱中した松本さんはみるみる上達し、4年生の時には6年生のチームで試合に出場していた。
そして小学校卒業前、松本さんに大きな転機が訪れた。大阪の強豪中学から入部の誘いを受けたのだ。