アジア選手権2025が5月27~31日の5日間、韓国・クミで開催される。日本は9月開催の東京2025世界陸上につながる重要な大会と位置づけ、「メダル獲得が期待できる選手」をチーム編成方針に掲げて代表選手選考を行った。前回23年のタイ・バンコク大会で、日本勢は素晴らしい活躍を見せ男女16種目に優勝した。クミ大会で優勝が期待できる日本選手、外国勢も含め世界レベルの種目、記録的な期待ができる種目を紹介していく。今回は男子トラック種目編。

栁田とタイの19歳選手との争いか

100mの栁田大輝(21、東洋大4年)、200mの鵜澤飛羽(22、JAL)、400mの佐藤拳太郎(30、富士通)と、男子短距離3種目で日本選手が2連勝に挑む。

栁田は5月18日のゴールデングランプリ(以下GGP)に10秒06の自己3番目の記録で優勝した。スタートからリードを奪い「60mで決着をつける」と想定した通りのレースを、19年世界陸上金メダルのクリスチャン・コールマン(29、米国)らを相手にやってみせた。海外レースにも強く10秒02の自己記録は、2度海外で出している。そのうち1回が前回のアジア選手権決勝だ。

栁田大輝選手

栁田はGGPのレース後に、アジア選手権への抱負を次のように語った。「ちゃんと決勝に残って、どんなレースでも一番でゴールすることが大事だと思っています。自分の状態を良いところに持っていき、本番で自分の走りができたら今日以上のタイムを出せる。10秒00はずっと目指して行きます」

クミの競技場が記録が出やすい高速トラックで、適度な追い風が吹けば、日本人5人目の9秒台スプリンターが誕生するかもしれない。実現すれば同時に、10秒00の世界陸上標準記録突破になる。23年アジア大会優勝の謝震業(31、中国)はエントリーしなかった。昨年のU20世界陸上2位のプリポール・ブーンソン(19、タイ)との勝負になる。世界大会での実績はないが、今季10秒13と自己記録を大きく伸ばしたアブドゥラジズ・アブダイ・アタフィ(23、サウジアラビア)は、200mで20秒14と高いレベルの記録を持つ。サウジアラビアには昨年10秒07で走ったナセル・マフムード・モハメド(22、サウジアラビア)もいる。