“誰かの役に立ちたい” 働くことが生きがいに…
おやつの他にも要らなくなったダンボールで猫の爪とぎを作ったり、要らなくなった布でペットのおもちゃを作ったり。
また、現役時代の豊かな経験を活かし地域住民の依頼に応えることも。
【利用者の70代男性】「ほかのデイサービスはボケッとして体操したりテレビ見たりクイズをしたり。ここは働くからいい、障害あるからリハビリにもなる」

ペットのおやつ作りはグループ施設でも行っています。
隣接するデイサービスセンターは地元精肉店の新鮮な肉や内臓を利用。
【利用者の90代男性】「休んでいるのは、まだもったいないみたいだし、何かあれば手伝っておけば少しは楽かな」

ショートステイが出来る施設では、地元農家から仕入れた規格外のサツマイモを利用。

監督するのは、なんと犬!セラピー犬として活躍するトイプードルのさくら11歳です。

【利用者の90代女性】「さくらが食べてくれるのかなと思うとしがいがある、嬉しい」
【小規模多機能ホーム ゆうばえの家 管理者 鷲尾圭彦さん】
「週2回来て、みんなに抱っこしてもらったり、やすらぎを与えてくれる存在。ホッとする環境を簡単に作ってくれる」

作業中はつまみ食いをしないさくらですが、完成品をおやつとしてあげると大喜び!直接の反応が見られるので、施設のみなさんも嬉しそうです。
「えんでこ」などで作られたペットのおやつは、地域のペットショップやイベントなどを通して毎月、およそ350袋ほどが売れています。
お店への納品も仕事のひとつです。この日は、JR内野駅近くの雑貨店へ。

【おしゃれの店 JUN 若松淳子さん】「大人気なんですよ!すぐ売れちゃう」

店としても作り手の顔が見えるので安心して売ることができるといいます。納品の様子はSNSに掲載。入荷待ちになるほどの人気商品だそうです。
こうした、地域の人達と直接つながりを持つことは、おやつ作りの励みにもなっています。

そしてそれは、「何かの役に立ちたい」という生きがい作りにも繋がっているのです。

【利用者の90代女性】「最初はいじるのびっくり。でも、(仕事が)出来ない年齢になっても何かの役に立つというのが嬉しくて自分が生きていることに嬉しさを感じる」

【地域密着型デイサービス えんでこ 管理者 井口真紀さん】
「自分のことができるうちは、誰かのために何かしてあげたいというのが人の当たり前の欲求であるかなという気がする。それをここで維持できるといい」

資源を活かし、新たな地域の魅力に変える。
その陰にはお年寄りたちの力が生きています。
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【取材後記】
先週土曜日には、施設の広場でイベントを行い、利用者の皆さんが売り子の仕事をして生き生きしていました。
こちらの施設では、おやつ作りのほかにも、地域の要らなくなった木を伐採して薪にしたり、コーヒー店の珈琲カスを消臭剤にしたりと様々な活動をしています。
報酬はほとんどないということですが、仕事をすることで、みなさんそれぞれが生きがいを感じているそうです。