保険診療の魅力向上と医療制度の未来
こうした状況に対し、若手医師が保険医療を選ぶようにするためには、働き方などを見直す必要があるとA医師は訴えます。
美容クリニックを経営 A医師
「『直美』が増えている理由には、美容の自費診療が魅力的に映っているからなんです。美容とか自費診療に行く前に、5年は最低でも保険診療での臨床経験が必要という制度をつくってもいいと思います。ただ結局、その5年が終わった後に、また美容に行く医師がいるのは今と変わらないと思います。長期的にしっかり保険診療に従事する医師を増やしたいのであれば、病院内の働き方の改革や診療報酬の増加など、保険診療よりも魅力的に映るようにする必要があります」

野村病院の野村理事長は、「保険診療」を取り巻く環境は、今後さらに悪化すると警鐘を鳴らします。
野村病院 野村祐介 理事長
「保険診療の現場は、急性期病院も慢性期病院も多忙となっており疲弊しています。超高齢社会が進行する反面、現役世代の生産年齢人口は減少する一方、社会保障に使える財源を確保しなければ保険診療を取り巻く環境はさらに厳しさを増していくと考えます。これを打開するためには異論はあると思いますが、消費税を上げるしかないのかもしれません。これにより保険診療に希望をもてるようになることが、自費診療に対抗できる方策だと考えます」
急増する美容医療に携わる医師について、職業選択の自由は尊重しつつも、未来の医療の質を守るために保険診療の働き方改革や診療報酬の抜本的な見直しが求められています。