「電池工場の建設中止」と「工場閉鎖」は別
Q 福岡県北九州市に計画していたEV=電気自動車向けの電池生産工場の建設断念は「苅田閉鎖」の伏線ではないのでしょうか
経済ジャーナリスト 井上久男さん
新電池工場建設発表からわずか4か月で計画を撤回したため、九州の工場が危ないのではないかと不安になるかと思いますが、日産の経営体制が今年4月から変わり、旧体制の戦略をゼロから見直しています。
新しい電池工場建設への投資は今厳しいということを、エスピノーサ新社長が判断しました。
ですから「電池工場建設中止」と「苅田工場の今後」の2つの問題は切り離して考えた方がよいでしょう。

Q 「日産城下町」の苅田は安心してもよいのでしょうか
経済ジャーナリスト 井上久男さん
国内工場の閉鎖については追浜(おっぱま)工場(神奈川県横須賀市)が以前から俎上に上がっていました。
苅田については、何が起こるかわかりませんが、「ほぼない」とみてよいと思います。
Q その裏付けは?
経済ジャーナリスト 井上久男さん
日産の苅田工場で何を作っているか、その車がどういう形で流通しているか、これまでの戦略をみれば明白です。
日産車体九州は工場完成から比較的新しいものです。(2010年本格稼働)
日産として国内最大級で生産性が高いと言われている工場を、日産が手放すことはないでしょう。
またサプライヤーである下請け部品メーカーも苅田町周辺に多く進出しているだけに、九州の工場を閉鎖すると大混乱を招くでしょう。