重心の低さが村竹ラシッドの武器だが「攻めすぎた」
スタートを得意とする野本周成(29、愛媛競技力本部)が1~3台目は村竹と並んでいたが、4台目からは村竹が抜け出した。右隣のディラン・ビアード(26、米国)が中盤で、村竹の順大の後輩である阿部竜希(21、順大)が終盤で2位に上がったが、村竹に肉薄するまでには至らなかった。
村竹もパリ五輪5位入賞者。三浦と同様にダイヤモンドリーグ厦門大会で13秒14(2位/追い風0.3m)と標準記録(13秒27)を突破し、世界陸上代表に内定した。上海紹興大会も13秒10(追い風0.6m)の2位と、海外自己新を連発した。GGPでは「(日本人初の)12秒台」を目標とし、「最低でも13秒0台」を自身に課していた。
だが記録は13秒16。自己6番目で五輪&世界陸上でも十分入賞できるレベルだが、レース後の村竹は「遅かったです。不本意です」と落胆していた。記録を出せなかった要因としては、「攻めすぎた」ことを挙げた。
「思った以上にスタートから1、2歩目が踏めて、練習の時より1台目までの重心が低くなってしまいました。そこから一気に重心を引き上げましたが間に合わなかった感じだと思います。前半は立て直せませんでした。後半は上海紹興大会より刻めたかなと思うのですが、10台目の踏み切りが遠くなって、ハードルに当ててしまいました。もったいなかったです」。

そもそも重心の低さは、ハードリングにおける村竹の特徴である。ハードルを低い重心で越えて行くことで、上下動が少なくロスのない動きになる。他の選手との差を生んでいく部分である。
目標が高かった分、GGPでの課題への達成度は三浦よりも低くなった。だが失敗しても13秒16を出したことは、世界から見た村竹の評価を間違いなく上昇させた。