2024年3月に福井県の敦賀まで開業した北陸新幹線ですが、その先、新大阪駅までの延伸について、政府・与党が2016年、福井県の小浜市を通って京都駅に南下する「小浜・京都ルート」に決めています。

しかし、新幹線建設に伴うトンネル工事で、京都市では市民の生活に欠かせない地下水が枯れてしまうのではないかという懸念が広がっています。さらに去年、建設費が当初予定の2・5倍を超える最大5兆3000億円に、工期も最長で28年に延びるという新たな試算も示されました。

こうしたことから、一度は立ち消えになったはずの滋賀県米原市を通る米原ルートを求める声が、特に南加賀を中心に上がっています。一度は決着したはずのルート論争。しかし今、県のトップ自ら公の場でルートの再検討を求めるまでに至っています。延伸先の京都では仏教の世界にも波紋が広がっています。

石川県関係者が“異例の退席”…米原再考盛り込まれず

杉本達治 福井県知事「大丈夫ですか?」
馳浩 石川県知事「ちゃんと任せてください」
杉本達治 福井県知事「楽しく、楽しく…」

5月12日、都内で開かれた会合。年に2度、沿線自治体のトップらが集まり大阪までの全線開業を訴えますが、この4日前、馳知事は記者会見でこう述べました。

馳浩 石川県知事
「県民の意思をこの北陸新幹線の早期整備の会議で伝えてきます。これは断言します。意味のない決議案にはしないように努力中」

「意味のない決議にしない」と強調した馳知事、しかし…。

杉本達治 福井県知事
「国家百年の大計を政争の具にしてはいけない。小浜京都ルートでの一日も早い大阪への全線開業に向けてこれからも全力を尽くしていく」

西田昌司 参院議員(京都府)
「もうすでに与党の整備委員会では小浜・京都ルートでコースは決まっている。これからコースがどうのこうのという話は基本的にあり得ない」

沿線の福井・京都はこれまで同様、「小浜・京都ルート」を声高に訴えます。
こうした中、馳知事は…。


「馳知事の要請に先立ち、資料配布の申し出がありました」(会場アナウンス)
急きょ、“米原ルートの再検討”を求めた去年7月の県民会議の決議文を配布したのです。

馳浩 石川県知事
「認可着工は令和5年度にすると言いながら、5年度はダメ、6年度も先送り、7年度も先送り。(県民会議の決議を)ご覧いただければ分かるように、万が一大きな前提が崩れた場合には10年前に議論があった『米原ルートも検討してほしい』という文言が入っています」

石川県民の意思として「米原ルートの再検討」を訴えたものの…。

新田八朗 富山県知事
「関西圏を含む沿線が一致団結して求めてきた小浜京都ルートでの全線整備を堅持すべき」
三日月大造 滋賀県知事
「私どもが望んでいること求めていることは小浜、京都、大阪と早期に繋ぐということで、米原ルートについては申し訳ないが望んでも求めてもいませんので」

周辺の自治体からの援護射撃は得られず、「米原ルートの再検討」という文言は決議文に盛り込まれませんでした。石川県の関係者にとっては針の筵ともいえる状況に県選出の国会議員や県議らが会場の外へ…。憤りの色を隠せません。

宮橋勝栄 小松市長
「1年2年の話でプランBを作るという話をしている訳じゃない、もう8年たっている。これが絶対なんだと進むと間違いが起きるので今見直すべき時が来ている。米原ルートを1つの選択肢として進めていく必要がある」

自民党県連の重鎮、福村章県議も途中退席。

福村章 石川県議
「仮定じゃない、我々は(2016年から)8年じっと待ってきた。京都が全く理解を示さない、そんな時に何をまだこう集まって空念仏みたいなことを言い続けるのか非常に疑問」