「塀を作るぐらいなら、ほかに居場所を作ってほしかった」新たな溜まり場に移った若者

 そこから3年。塀の設置により、“グリ下”の景色は一変しました。若者たちの姿はほとんど見当たりません。彼らはどこへ行ったのか___

 (記者)「昔は“グリ下”集合みたいな感じだったのが、今はここに集合?」
 (若者)「そうですね」
 (記者)「ここは何と呼ばれている?」
 (若者)「“浮き庭”」
 (記者)「どういう意味?」
 (若者)「たぶん、水に浮いているから」

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 若者たちが“浮き庭”と呼ぶエリア。周辺に外国人観光客の姿はなく、ひっそりと静まり返っています。“グリ下”から西に約400m離れた場所で、新たな溜まり場として定着しつつあるといいます。以前の溜まり場を失った、若者たちの心境は…。

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 (若者)「わざわざ奪うみたいな感じで塀を作ったりするのは、本当にやめてほしいなと思いました」
 (若者)「『なんでそんなんするん?』みたいな。余計、居場所なくなっちゃうんじゃないかなと思います」

 それぞれが複雑な事情を抱え、街をさまよっています。

 (若者)「虐待されていて、居場所がなくて、学校も行けなくて、コミュ障で周りの子となじめなくてみたいな。勉強もできないからいじめられてみたいな。塀を作るぐらいなら、ほかに居場所を作ってほしかった。そのあとで良かったんじゃないかって思ってますよ、私は」

 10代半ばから20代前半の男女が、入れかわり立ちかわり、“浮き庭”にやって来ます。その光景は、私たちが2022年にグリ下で見たものと同じです。